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台湾との外交関係維持するパラグアイ、中国の圧力強まる中


人口約640万人の内陸国パラグアイは国際政治では小国とみなされるが、台湾にとっては重要な存在だ。
パラグアイと台湾の国旗(Getty Images)

南米パラグアイは台湾との長年の外交関係を維持する一方で、中国が政治家や有力者への働きかけを強めており、外交方針を巡る駆け引きが激しくなっている。中国はパラグアイに対し台湾との関係を断ち北京と国交を結ぶよう促し、ラテンアメリカにおける台湾の外交的立場にも影響する可能性がある。

人口約640万人の内陸国パラグアイは国際政治では小国とみなされるが、台湾にとっては重要な存在だ。同国は南米で唯一、台湾(中華民国)と正式な外交関係を維持している国であり、中国にとってはこの関係を解消させることが外交戦略上の大きな目標となっている。

中国は近年、パラグアイの政治家やメディア関係者を中国に招待するなどして関係強化を図っている。関係者によると、こうした訪問では中国の先進的なインフラや技術、医療体制などを紹介し、北京と国交を結べば投資や経済協力が拡大する可能性があると説明している。過去1年で少なくとも19人の国会議員や複数の記者が中国を訪れたとされる。

中国は「一つの中国」原則を掲げ、中国と外交関係を結ぶ国には台湾との正式な関係を断つことを求めている。多くの国がすでにこの原則を受け入れ、台湾と外交関係を持つ国は10数か国にまで減っている。中国にとってパラグアイが関係を切り替えれば、台湾の国際的孤立をさらに強める象徴的な成果となる。

一方、パラグアイ政府は現時点で台湾との関係を維持する姿勢を示している。2023年に就任したペニャ(Santiago Peña)大統領は台湾との外交関係を守る方針を表明、両国の長年の友好関係を重視している。台湾はこれまで農業や教育などの分野で支援を行い、奨学金制度や技術協力などを通じてパラグアイとの結び付きを強めてきた。

しかし国内では、経済的な理由から中国との関係構築を求める声もある。特に畜産業界では、中国市場に牛肉を輸出できないことが大きな機会損失になっているとの不満がある。中国は世界最大級の食料輸入国で、正式な外交関係がないことが貿易拡大の障害になっていると指摘されている。

政治面でも議論は続いている。過去の大統領選挙では野党候補が中国との外交関係樹立を主張し、台湾との関係見直しが選挙争点の一つとなった。中国の影響力拡大と経済的利益の可能性を背景に、国内の政治勢力の間で意見が分かれている。

こうした状況の中で、中国は経済協力や投資の可能性を示しながらパラグアイへの接近を続けている。一方で政府は台湾との歴史的な友好関係を重視し、外交方針はブレていないと強調する。

台湾にとってパラグアイは南米で唯一の外交パートナーであり、その関係の行方は国際社会における台湾の外交的地位にも影響を及ぼす。中国と台湾の対立が続く中、パラグアイを巡る外交競争は今後も続くとみられている。

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