パキスタン・カシミール地方で反インド集会、数百人参加

パキスタンとインドはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
2025年8月5日/パキスタン、アザド・カシミール州ムザファラバードで開催された反インド集会(AP通信)

パキスタンが実効支配するアザド・カシミール州ムザファラバードで5日、反インド集会が開かれ、数百人が参加した。

デモ隊はインド政府が2019年にジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪したことを非難。これを回復するよう要求した。

地元メディアによると、このデモは地元の人権団体が主催し、州議会の議員も参加したという。

カシミールの統一を目指す団体はX(旧ツイッター)に声明を投稿。国際社会に対し、カシミール市民の自己決定権の保障を支援するよう呼びかけた。

パキスタンとインドはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。

ジャンムー・カシミール州では4月、正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。その多くがインド人であった。

この事件後、インドとパキスタンの境界で戦闘が発生。本格的な戦争に発展する恐れもあったが、両国は5月10日、米国の仲介を受け、完全かつ即時の停戦に合意した。

インド政府は先月末、森林地帯で殺害した過激派の戦闘員3人について、ジャンムー・カシミール州の銃乱射事件の容疑者であると明らかにした。

インド政府は4月の事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪し、インダス川水利条約の履行を停止するなどの対抗措置を講じた。

この条約は世界銀行の仲介によって締結され、インダス川の東側の支流3本をインド、西側の支流2本をパキスタンが利用することを定めている。

インドはこの条約でパキスタンの農地の80%への水供給を保証していた。

パキスタン政府はジャンムー・カシミール州の事件への関与を否定している。

両国はカシミールの境界で激しい銃撃・砲撃戦を繰り広げた。パキスタンは40~50人のインド兵を殺害したと主張している。

両国はその後、陸、空、海におけるすべての軍事行動を直ちに停止することで合意した。

カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれてきた。

インドのカシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。

インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。

ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。

インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。

インドは1947年にイギリスから独立して以来、パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。

パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。

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