◎パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディンを追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオキャンペーンを敵視するようになった。
2024年1月8日/パキスタン、北西部カイバル・パクトゥンクワ州、爆弾テロで死亡した警備員の葬儀(AP通信)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でポリオ予防接種の警備に当たっていた警察官らを乗せたバンが爆破され、少なくとも6人が死亡、10人が負傷した。警察当局が8日、明らかにした。

それによると、事件はアフガン国境近くの町で発生。警察官らを乗せたバンの近くで爆弾が爆発したという。

事件後、TTP(パキスタンのタリバン運動)が犯行声明を出した。

州警察の報道官によると、負傷した警察官数人が重体だという。

TTPは犯行声明で、「市民に西洋の劇薬を投与しようとするテロリスト政権の戦闘員を無力化した」と主張。ポリオワクチンを「毒」と呼んだ。

ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率は地域によって異なるが、ワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。

パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンは2021年に撲滅まであと一歩(年間症例1件)に迫った。昨年の感染者もわずか2人で、アフガンと国境を接する北西部州で確認された。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオキャンペーンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。

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