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パキスタン軍、武装勢力の戦闘員177人殺害 バルチスタン州

この作戦は先週末に同州各地で発生した同時多発テロを受けて開始されたもので、武装勢力は約200人の戦闘員を複数の小グループに分け、警察署、民家、治安施設などを同時多発的に襲撃した。
2026年2月1日/パキスタン、南西部バルチスタン州クエッタ、テロ攻撃が発生した現場(AP通信)

パキスタンの治安当局は2日、南西部バルチスタン州で国軍・治安部隊が反政府勢力に対する大規模な掃討作戦を展開し、過去48時間で177人のテロリストを殺害したと明らかにした。

この作戦は先週末に同州各地で発生した同時多発テロを受けて開始されたもので、武装勢力は約200人の戦闘員を複数の小グループに分け、警察署、民家、治安施設などを同時多発的に襲撃した。同攻撃には自爆攻撃が含まれ、民間人や治安要員など少なくとも50人が死亡した。このうち民間人は33人、治安要員は17人と報告されている。

反乱分子の多くはる反政府勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」の戦闘員とされる。BLAは中央政府に対し長年にわたり独立や自治の要望を掲げて武装闘争を続けてきた組織で、過去にも多数のテロ攻撃を実行している。治安当局はBLAが同国最大のイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)と協力関係にあると指摘しているが、詳細な実態は不透明だ。

治安当局はテロ攻撃に対して即座に反撃を開始し、軍と警察、その他部隊が合同で掃討作戦を展開した。州当局は2日の声明で、「複数地域で急襲を含む大規模摘発を決行し、テロリスト177人を無力化した」と説明した。これについて専門家は、この規模の戦闘死者数は近年まれであり、バルチスタン州における反乱の激しさを象徴するものだと指摘している。

中央・州政府は今回のテロに対し厳しい姿勢を強調している。内務省はX(旧ツイッター)への投稿で、殺害された武装勢力を「インドの支援を受けるテロリスト」と断定した。しかし、具体的な証拠は示されておらず、インド政府はこれを否定している。こうした発言は地域の政治的緊張をさらに高める可能性がある。

一連の掃討作戦で治安がある程度回復したとの報告もあるが、州内の鉄道サービスは安全上の理由から停止されたままである。鉄道当局は運行再開を見送っており、市民生活や物流に影響が出ている。

バルチスタン州はパキスタン最大の面積を持つ州だが、人口密度は低く、過去数十年にわたって武装勢力との衝突が絶えない地域だ。天然資源が豊富であるにもかかわらず、開発は遅れており、地元住民の間では政府からの差別や経済的疎外を理由とする不満が根強い。こうした社会的背景が武装闘争の長期化につながっているとの分析もある。

今回のテロと掃討作戦はパキスタン政府にとって治安維持と国内安定の課題を改めて浮き彫りにした。今後、政府はさらなる作戦の継続や対話の可能性を巡る議論を進める必要があるとみられるが、現時点で和平の道筋は見えていない。

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