◎シャリフ氏は最も深刻な被害を受けた南部シンド州の復興作業現場を視察し、メディアの取材に応じた。
パキスタンのシャリフ(Shahbaz Sharif)首相は21日、国土の3分の1が水没した記録的な洪水の復興が思うように進んでいないとして、国際社会にさらなる支援を要請した。
パキスタン国家防災管理庁(NDMA)によると、今夏の洪水で被災した市民は2000万人に達し、3300万人が避難を余儀なくされたという。死者は1739人と報告されている。
さらに農地400万エーカー(東京都面積の7.5倍)が破壊され、住宅220万戸が全壊したと推定されている。
シャリフ氏は最も深刻な被害を受けた南部シンド州の復興作業現場を視察し、メディアの取材に応じた。
シャリフ氏は来年1月9日にジュネーブで予定されているパキスタン支援国際会議に先立ち、「自宅を失った数百万人のために食料、テント、その他の必需品を届け、厳しい冬を乗り切れるようにしてほしい」と国際社会に訴えた。
またシャリフ氏は「現在でも推定2000万人の被災者が緊急の人道支援を必要としている」と述べた。
パキスタン政府は資金繰りに苦労しており、今夏の洪水が発生する前から財政危機に直面していた。
世界銀行は被害総額を400億ドルと見積もっているが、政府は先月の記者会見で「最低限の復興でもそれをはるかに超える費用がかかる」という認識を示していた。
シャリフ氏は「パキスタンの二酸化炭素排出量は世界の総排出量のごくわずかに過ぎないが、今年、気候変動に最も苦しめられた」と語った。
国連は来年の会議で国際社会にさらなる支援と資金提供を呼び掛ける予定である。
シャリフ氏は会議の場で「恐ろしい数の被災者が野宿していることを説明するつもりだ」と語った。
またシャリフ氏は「推定900万人の子供が被災者の中に含まれ、その多くが学校に通えず、助けを待っている」と訴えた。
地元メディアによると、一部の被災地では降雪が進み、野営している被災者の多くが厳しい寒さと飢えに直面しているという。
シャリフ氏は政府の支援策について、「破壊された家や町を再建するために可能な限りの資金と資源を投入している」と説明した。
報道によると、この数週間で数万人の被災者が地元に戻ったという。