▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
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パキスタン軍が3日、隣国インドとの緊張が高まる中、弾道ミサイルの発射実験を行った。
パキスタン軍によると、射程450キロの地対地ミサイルの性能を確認したという。
インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で4月22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。
インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。
インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪した。
パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インドとの水共有条約を停止するなどの対抗措置を発表した。
またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。インド側も同様の措置を取っている。
インド政府はこの事件にパキスタン政府が関与したと主張しているが、その証拠は示していない。
パキスタン政府は関与を否定し、国連と国際社会に中立的な調査を求めている。
パキスタン軍は声明で、「今回の試射はミサイルのナビゲーション・システムや強化された操縦性などを確認し、部隊の作戦準備態勢を確保し、技術的パラメータを検証することを目的としている」と述べた。
シャリフ(Shehbaz Sharif)首相とザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領は発射実験が成功したことを称賛した。
専門家によると、パキスタン軍は南西部バルチチタン州の砂漠地帯やアラビア海でミサイル実験を行うことが多いという。
インド海軍は4月27日、「長距離精密攻撃に対するプラットフォーム、システム、乗組員の準備態勢を再検証するために、艦船が対艦ミサイル発射試験を行い、成功した」と声明を出した。
パキスタンのタラル(Attaullah Tarar)情報・放送相はこの試験から2日後、インドが今後24~36時間以内に軍事攻撃を仕掛けるという情報を入手したと明らかにしていた。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれている。
カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、宿敵パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。