◎カーン陣営はシャリフ首相、内相、軍高官が暗殺未遂に関与したと主張している。
パキスタンのシャリフ(Shehbaz Sharif)首相は5日、野党党首のカーン(Imran Khan)前首相が銃撃された事件に関与したという疑惑を強く否定した。
カーン氏は2日前、中部ワジラバードで抗議デモを率いていた際に銃撃され、脚を負傷した。
カーン陣営はシャリフ氏、内相、軍高官が暗殺未遂に関与したと主張している。
シャリフ氏は北部ラホールで記者団に対し、「この事件に私が関与しているという証拠が欠片でも見つかったら、私は政治家を引退する」と語った。
またシャリフ氏はカーン陣営が名指しした3人が事件に関与しているという証拠は見つかっていないと強調した。
シャリフ氏はカーン前首相が「安っぽい陰謀」で国に損害を与えていると指摘。最高裁にこの事件と疑惑を調査する独立した調査委員会を設置するよう要請した。
パキスタン軍も同様の見解を示し、カーン陣営の発言を「無責任」と糾弾した。
中露寄りのカーン氏は今年4月に不信任決議で追放されて以来、政府・司法・軍を厳しく批判し、全国各地で政治集会を開催。シャリフ政権に解散を求めている。
またカーン氏は不信任決議を「米国の陰謀」と呼び、米政府・シャリフ氏・軍が関与していると主張した。
カーン氏率いる約1万人のデモ隊は北部パンジャブ州を通過して首都イスラマバードに向かっている途中、攻撃を受けた。容疑者は現行犯逮捕されている。
カーン氏は軍当局による拷問、上院議員や政府高官を含むシャリフ政権の関係者による嫌がらせを繰り返し非難してきたが、それが事実であることを示す証拠は提示していない。
シャリフ政権は5日、パキスタン電子メディア規制委員会(PEMRA)に対し、カーン氏の演説をテレビ中継しないという決定を取り消すよう勧告した。
政府報道官はSNSに、「パキスタンは言論の自由と民主主義を重んじる法治国家であり、カーン氏の演説を邪魔するつもりはない」と投稿している。
一方、カーン氏の支持者は5日も主要都市で抗議デモを続け、正義を要求した。
カーン氏の政党「パキスタン正義運動(PTI)」の関係者もカーン氏の主張を信じ、関係機関にシャリフ氏を逮捕するよう要請している。