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パキスタン国防相「同盟国サウジアラビアを核兵器で守る」

両国は今週、相互防衛協定に調印した。
サウジアラビアのサルマン皇太子(右)とパキスタンのシャリフ首相(AP通信)

パキスタン政府は18日、サウジアラビアと結んだ相互防衛協定について、同国の核兵器でサウジを守ることが可能であると表明した。

パキスタンが同盟国サウジを「核の傘」に置いたと認めたのは初めてである。

パキスタンとサウジの関係は宗教的、経済的、軍事的な側面で深く結びついてきた。両国は共にイスラム教を国の基盤とし、特にサウジはイスラム教の聖地を抱える「守護者」としての立場を持ち、パキスタンは世界有数のイスラム人口を有する国家として互いに強い宗教的親近感を共有している。

両国は今週、相互防衛協定に調印した。

アナリストたちはこの動きを中東で唯一の核保有国と見なされているイスラエルへの警告と分析している。

イスラエルは先週、カタール・ドーハを空爆し、パレスチナのイスラム組織ハマスのメンバー5人を殺害。ガザ紛争で中東の緊張が高まる中、アラブ諸国は自国の安全保障について新たな懸念を抱いている。

アシフ(Khawaja Mohammad Asif)国防相は18日遅くに放送された地元テレビ局のインタビューで、「パキスタンが核兵器から得る抑止力がサウジにも提供されるか」と問われ、こう答えた。「我々が持っているもの、そして我々が持つ能力は、この協定に基づいて(サウジに)提供されるだろう」

パキスタンの核兵器は冷戦後の南アジアにおける安全保障環境の中で形成された。インドが1974年に核実験を行ったことが大きな契機となり、パキスタンは国家存続のために独自の核開発を加速させた。

1980年代には事実上の核兵器保有国になったとされる。1998年にはインドの核実験に対抗する形で複数回の地下核実験を実施し、公式に核兵器保有を世界に示した。現在、パキスタンは核弾頭を百数十発保有していると推定され、弾道ミサイルや巡航ミサイルといった多様な運搬手段を整備している。国際的には核拡散防止条約(NPT)に加盟しておらず、その透明性の低さやカーン博士による技術流出問題などから懸念が根強い。また、国内の政治的不安定さやイスラム過激派の存在が、核兵器の安全管理に対する国際社会の不安を高めている。こうした事情から、パキスタンの核兵器は南アジアの安全保障における最大の緊張要因の一つとなっている。

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