武装集団がポリオ予防接種チーム襲撃、警察官1人殺害 パキスタン
事件は州都ペシャワル近郊の地区で発生。オートバイに乗った2人組が発砲したとされる。
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パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で身元不明の武装集団がポリオワクチン接種チームを襲撃し、警察官1人を殺害した。地元警察が14日、明らかにした。
それによると、事件は州都ペシャワル近郊の地区で発生。オートバイに乗った2人組が発砲したとされる。
中央政府は13日から4500万人の子供を対象とする全国規模の予防接種キャンペーンを開始したばかりだった。
AP通信は関係者の話しとして、「ポリオ対策チームが民家で子供たちにワクチンを投与していたところ、オートバイに乗った2人組のテロリストが発砲し、警察官が被弾した」と報じた。
容疑者は現場から逃走。陸軍と警察が行方を追っている。
シャリフ(Shehbaz Sharif)首相はX(旧ツイッター)に声明を投稿。この事件を非難し、亡くなった警察官に哀悼の意を表したうえで、関与した者を罰すると誓った。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンでは昨年、ポリオ患者が急増し、74人の感染が報告された。
同国では1990年代以降、このキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官が殺害されている。
イスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。