▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
.jpg)
パキスタンのタラル(Attaullah Tarar)情報・放送相は20日、インドが今後24~36時間以内に軍事攻撃を仕掛けるという情報を入手したと明らかにした。
インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。
インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。
インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザを26日に剥奪した。
パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インドとの水共有条約を停止するなどの対抗措置を発表した。
またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。
インド政府はこの事件にパキスタン政府が関与していると主張。容疑者を「政府の命を受けたテロリスト」と呼んでいる。
パキスタン政府は関与を否定し、国連と国際社会に中立的な調査を求めている。
インドはインダス水域条約を停止し、パキスタンに圧力をかけている。これは1960年に両国間で締結された水利条約で、世界銀行の仲介により、インダス川とその支流の水配分に関する合意を確立したもので、東側の3つの支流をインド、西側の2つの支流をパキスタンに割り当てた。
タラル氏は声明で、「我が国はインドが24時間から36時間以内に、カシミールの事件を口実に軍事攻撃を開始するという信頼できる情報を持っている」と明らかにした。
またタラル氏は「侵略行為には断固とした態度で臨む。インドがこの地域で深刻な結果を招いた場合、その責任はすべてインドが負うことになる」と強調した。
インド外務省はタラル氏の声明に関するコメントを出していない。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれている。
カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、宿敵パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。
パキスタンのアシフ(Khawaja Mohammad Asif)国防相は29日、ロイター通信の取材に対し、「軍は厳戒態勢を敷いているが、国家の存亡を脅かすと判断した場合にのみ、核兵器を使用するだろう」と語った。