◎学校の警備員が武装集団に殴られたものの、命に別条はないという。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州の女子校に正体不明の武装集団が押し入り、爆弾を爆発させた。捜査当局が9日、明らかにした。
それによると、事件は同州の北ワジリスタンにある女子校で8日深夜に発生。武装集団は警備員を脅して校内に入り、IED(即席爆発装置)とみられる爆弾を爆発させ、逃亡したという。
この爆発で校舎に被害が出たものの、死傷者は出なかった。
警察によると、犯行声明を出した組織は確認されていない。
国連児童基金(ユニセフ)は攻撃を「卑劣」と非難。「多くの少女の未来を危うくするものある」と断じた。
警察によると、学校の警備員が武装集団に殴られたものの、命に別条はないという。
地元テレビ局は情報筋の話しとして、「TTP(パキスタンのタリバン運動)の関連組織が校舎に時限爆弾を設置しようとして失敗した」と伝えている。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切り、軍と警察への攻撃を強化した。
TTPは過去にもカイバル・パクトゥンクワ州の女子校を標的とし、「女性は教育を受けるべきではない」と主張している。
パキスタンのユニセフ代表は声明で、「人里離れた恵まれない地域の女子校に対する攻撃は国家の進歩を害す、ひどく野蛮で凶悪な犯罪である」と非難した。
シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は8日、全国で2600万人もの児童が学校に通えていないという調査結果を受け、教育非常事態を宣言。女子児童を含む未就学児への支援を強化すると約束した。
パキスタンではカイバル・パクトゥンクワ州スワート渓谷などの農村部で女子校への攻撃が相次いでいる。
2012年には女子教育の提唱者であり、ノーベル平和賞を受賞した当時14歳のマララ・ユサフザイ(Malala Yousafzai)さんがTTPの戦闘員に頭部を撃たれ、重傷を負った。