▽クラム地区では先週、正体不明の武装集団が食料などの物資を輸送中の車列に攻撃を仕掛け、治安要員2人とトラックの運転手3人が死亡した。
パキスタンの治安部隊がアフガニスタンと国境を接する北西部カイバル・パクトゥンクワ州クラム地区で武装勢力を標的とする作戦を開始した。同州政府が20日、明らかにした。
クラム地区では先週、正体不明の武装集団が食料などの物資を輸送中の車列に攻撃を仕掛け、治安要員2人とトラックの運転手3人が死亡した。犯行声明を出した組織は確認されていない。
同州政府は声明で、「クラム地区で暴力事件が急増しているため、治安部隊が新たな対テロ作戦を行っている」と述べた。
また政府はいくつかの地域で作戦が進行中であり、市民の一部を政府の避難キャンプに移動させていると明らかにした。
クラム地区では昨年11月にイスラム教シーア派とスンニ派の対立が激化。武装集団がシーア派の信徒を乗せたバスや車を攻撃し、52人が死亡した。逮捕者は出ていない。
この攻撃後、いくつかの地域で敵対するグループによる報復が相次ぎ、少なくとも130人が死亡、200人以上が負傷した。
その結果、クラム地区に通じる幹線道路は全て封鎖され、食料、医薬品、燃料の輸送が困難になった。
両派は今月初め、地区内の地下壕を解体し、武器を政府に引き渡すことで合意。和平を約束した。
物資輸送はその後まもなく再開され、多くのトラックが食料や医薬品などを運び込んでいる。
州政府は対テロ作戦の目的について、「この地域の平和を確立すること」と説明している。