◎パキスタンと隣国アフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンで2日、今年2回目となるポリオワクチン接種キャンペーンが始まった。対象は5歳以下の児童約4400万人。
首相府の報道官はX(旧ツイッター)に声明を投稿。全国の保護者に対し、ワクチン接種に協力するよう呼びかけた。
保健所の職員約35万人が対象となる子供の家を1軒1軒まわり、経口生ワクチンを接種する予定だ。
キャンペーンには陸軍の兵士と警察官数万人も参加する。
ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率は地域によって異なるが、ワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。
パキスタンは2年ほど前からポリオ撲滅キャンペーンを展開している。
ワクチンに反対する一部の過激派は過去に保健所の職員や護衛の警察官などを殺害している。
地元メディアによると、今年ポリオに感染した患者は全国で2人。
パキスタンと隣国アフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンは2021年に撲滅まであと一歩(年間症例1件)に迫った。
今年の感染者2人はアフガンと国境を接する北西部で確認された。
アフガンで昨年確認された症例もわずか2件であり、撲滅への期待が高まっている。今年の感染者は現時点で5人。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオキャンペーンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。