パキスタンで麻しん・ポリオ予防接種キャンペーン、5770万人対象
期間は2週間。保健省は3450万人の子供に麻しん(はしか)・風疹ワクチンを、2330万人にポリオ経口ワクチンを投与するとしている。
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パキスタンで17日、5700万人以上の子供を対象とする全国予防接種キャンペーンが始まった。
期間は2週間。保健省は3450万人の子供に麻しん(はしか)・風疹ワクチンを、2330万人にポリオ経口ワクチンを投与するとしている。
世界保健機関(WHO)が14万人以上の医療従事者を訓練し、予防接種チームを支援した。
麻しんは「麻しんウイルス」によって引き起こされる急性の全身感染症。ウイルスの感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強い。
免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染すると一生免疫が持続すると言われている。WHOによると、大半の子供は回復するが、この疾患は依然として幼児の主要な死因の一つとなっている。
パキスタンでは過去3年間で13万1000人以上の麻しん症例を報告。今回の取り組みの緊急性を浮き彫りにしている。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンではポリオ対策キャンペーンは頻繁に実施されているが、麻しん・風疹対策キャンペーンは通常2~3年ごとに実施される。
パキスタンでは昨年、ポリオ患者が急増し、74人の感染が報告された。
同国では1990年代以降、ポリオキャンペーンに参加した200人以上の医療従事者や護衛の警察官が殺害されている。
イスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。
