◎カーン氏は先月、連立を組む政党の支持を失い、不信任決議で失脚した。
パキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)前首相は26日、シャリフ(Shehbaz Sharif)首相に6日以内に解散総選挙を行うよう命じ、拒否すれば300万人の大軍勢を率いて首都イスラマバードを行進すると警告した。
カーン氏は先月、連立を組む政党の支持を失い、不信任決議で失脚した。
現地メディアによると、25日にイスラマバード近郊で行われた親カーン勢力の行進は暴動に発展したという。警察はバリケードでデモ隊の車両を阻止し、一部の暴徒に催涙ガス弾を見舞った。
カーン氏はイスラマバード近郊の集会場で演説を行い、数千人の支持者に「解散総選挙で勝利する」と約束した。
一方、最大野党「パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派」率いる連立政権は25日、カーン氏を厳しく非難し、力による現状変更は許されないと警告した。
政府は親カーン勢力のデモに先立ち、議会、大統領府、シャリフ首相の事務所を含む政府関連施設に軍隊を配備した。
カーン氏は演説で、「政府の弾圧で市民5人が殺された」と主張し、シャリフ首相を非難した。現地メディアによると、警察は声明を出しておらず、本当に5人が死亡したかどうかは分からないという。
カーン氏を乗せた車はペシャワールからイスラマバードに向け出発し、その他の親カーン勢力は複数の地域から首都に向かった。
現地メディアによると、東部ラホールでデモ隊と機動隊が衝突、乱闘に発展したという。機動隊は暴徒に催涙ガス弾を撃ち込み、イスラマバード行きのバス数台を阻止したが、別のルートから現れた数百人のデモ隊に投石攻撃を受けた。
機動隊は格闘の末、デモ隊を押し返すことに成功した。
イスラマバードでも暴徒数十人と機動隊が衝突した。暴徒は大通りの茂みに火を放ち、機動隊に石を投げつけた。
南部の港湾都市カラチのデモ隊は警察車両に火をつけ、石を投げ、催涙ガスを浴びた。カラチでは数カ所で暴動が発生したと伝えられている。
AFP通信によると、機動隊員を含む数十人が負傷し、医療機関に搬送されたという。
政府は数十個の輸送用コンテナや大型トラックでイスラマバードにつながる高速や主要道路を封鎖した。
しかし、カーン氏はヘリコプターでイスラマバード周辺を自由自在に飛び回り、集会場で支持者を鼓舞し、警察の弾圧を厳しく非難した。
当局は25日、暴動に関与した市民1700人以上を逮捕したと明らかにした。この取り締まり強化は、24日に東部ラホールの暴動で警察官1人が何者かに殺害されたことを受けての措置である。
一方、シャリフ政権は25日、国際通貨基金(IMF)との数日にわたる協議の末、60億ドルの救済支援を再開することで合意した。交渉はカタールで行われた。
会談後、IMFはシャリフ政権に燃料とエネルギーに対する補助金を停止するよう求めた。この補助金は今年2月にカーン氏が承認したもので、IMFは無計画な補助計画に懸念を表明していた。