◎国民議会は11日に新首相の指名投票を行う予定である。
パキスタンの国民議会は9日、イムラン・カーン首相の不信任決議を採択し、元クリケットスターを首相の座から引きずり下ろした。
地元メディアによると、投票は深夜に行われ、野党連合の賛成多数で採択された。パキスタンの首相が解任されるのは初めて。
議会は11日に新首相の指名投票を行う予定である。
カーン首相はロシアと中国寄りの外交政策を展開しており、ロシア・ウクライナ戦争を非難する国連安保理決議を棄権し、侵攻開始日の2月24日にロシアを訪問しプーチン大統領と会談したことで多くの批判を浴びている。
野党は先週、不信任決議案を議会に提出したが、連立政権の崩壊で過半数を失い解任を察知したカーン首相は議会を解散し、総選挙に踏み切ろうした。
野党はこの動きに猛反発し最高裁に異議を申し立て、判事は7日、野党の訴えを認め、不信任投票を行うよう命じた。
カーン首相は最高裁の決定を尊重したものの、不信任決議案を「外資系ドラマ」と呼び、米国が野党の背中を押していると主張した。
国民議会(新)議長は9日、現地時間の10日午前11時までに首相候補の推薦状を提出するよう野党連合に求めた。
不信任投票が始まる数分前、カーン首相の盟友である国民議会議長が辞意を表明し、「カーン氏と与党PTIは国際的な陰謀の犠牲者である」と述べ、議会を後にした。
投票の結果、野党連合は解任に必要な過半数(定数342)を集めることに成功した。
野党のシャリフ党首は、「パキスタンと議会はついに深刻な危機から解放された」とツイートし、解任を祝った。「パキスタン国民の新しい夜明けを祝福します」
与党PTIの議員は、「カーン首相は優雅に、頭を下げずに首相官邸を離れた」と報告した。「カーン首相はパキスタンを高揚させました...」
クリケット・パキスタン代表の元キャプテンは2018年に首相に就任し、汚職と戦い、経済を立て直すと国民に約束した。
しかし、国は深刻な財政危機に見舞われ、汚職は減らず、公約は未達のままである。
カーン首相は先月下旬に議会の過半数を失い、政治生命を賭けた戦いに身を投じた。
多くの専門家がカーン首相は核兵器を保有する強力な軍部の後援を受け頂点に立ったと指摘している。しかし、両者の関係はカーン首相が昨年、情報機関の新長官の任命を拒否したことなどで悪化したと伝えられている。
カーン首相は野党が西側勢力(特に米国)と結託して自分を追放しようとしていると繰り返し発言している。米国はこの訴えを却下し、カーン首相も米国が何かしらの陰謀に関与したという証拠を示していない。
カーン首相はウクライナ侵攻が始まった日にプーチン大統領と会談し、両国の関係発展で一致した。
野党連合は先週3日に不信任決議案を提出したが、議会のスリ副議長は「外国勢力の干渉を示す証拠がある」と主張し、決議案を阻止した。
その後、カーン首相は解散総選挙を呼びかけたが、野党の抵抗に直面し、最高裁に決定を覆され、崖っぷちに立たされた。一部の野党議員は決議案の阻止を「反逆罪」と非難した。
AP通信などによると、首都イスラマバードの繁華街ではカーン首相の解任を祝うイベントが開催され、花火が打ちあがり、感動のあまり泣き出す市民もいたという。
南部カラチでは7日、最高裁の決定を歓迎するダンスイベントが開催され、多くの野党支持者が踊り、花火を打ち上げ、大はしゃぎした。