パキスタン中央銀行、政策金利11%据え置き、インフレリスク

中銀は24年9月に締結した国際通貨基金(IMF)の70億ドルの融資の下での改革を進めながら、利下げを進めてきた。
パキスタン国立銀行(SBP、中銀)のエンブレム(Getty Images/AFP通信)

パキスタン国立銀行(SBP、中銀)は16日、イスラエルとイランの紛争や世界的な原油価格の変動がインフレの上昇リスクを高める中、政策金利を11%に据え置いた。市場の予想通りであった。

中銀は24年9月に締結した国際通貨基金(IMF)の70億ドルの融資の下での改革を進めながら、利下げを進めてきた。

パキスタンの政策金利は24年6月に記録的な高水準である22%に達した。

中銀はそれ以来、利下げを進め、3月に緩和サイクルを一時停止。5月に1.0%引き下げ、11%に設定した。

ロイター通信のエコノミスト14人のうち11人が据え置きと予想。3人は利下げと予想していた。

中銀はイスラエルのイランに対する攻撃、原油価格の急騰、トランプ米政権の関税政策などをインフレリスクと説明している。

中銀の金融政策委員会は声明で、「消費者物価指数(CPI)は短期的な変動が見込まれ、徐々に上昇し、5~7%の目標範囲で安定化する見通しである」と述べた。

また中銀は「この見通しは地政学的紛争によるサプライチェーンの混乱、原油や他の商品の変動、国内情勢によって変化する可能性がある」と強調した。

パキスタンの5月のインフレ率は前年同月比3.5%増となり、政府の予測である2.0%を上回った。

25年2月のインフレ率は10年ぶりの低水準となる1.5%まで低下したものの、再び上昇に転じた。ピークは23年5月に記録した約40%である。

中銀は25-26会計年度の平均インフレ率を5.5~7.5%と予想している。

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