◎パキスタンは9日、武装勢力によるテロ攻撃が急増する中、全国でポリオ予防接種キャンペーンを開始した。
パキスタン、ポリオワクチン接種を受ける乳児(Getty Images)

パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でオートバイに乗った2人組の武装集団が発砲し、ポリオワクチン接種キャンペーンで戸別訪問していた医療従者者を警護していた警察官が射殺された。警察が12日、明らかにした。

同州では前日にも正体不明の武装集団が警察官1人と医療従事者1人を射殺している。

地元メディアによると、南西部バルチスタン州では戸別訪問していた女性医療従事者が2人の男にレイプされたという。

カイバル・パクトゥンクワ州の銃撃事件は州都クエッタ近郊の地区で発生。射殺された警察官は医療従事者から数メートル離れた場所に立っていた。

地元メディアによると、11日と12日の事件で犯行声明を出した組織は確認されていない。

パキスタンは9日、武装勢力によるテロ攻撃が急増する中、全国でポリオ予防接種キャンペーンを開始した。

パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンのポリオ予防接種キャンペーンは定期的に暴力に見舞われている。

カイバル・パクトゥンクワ州・南ワジリスタン地区では9日、予防接種の警備に当たっていた警察車両がIED(即席爆発装置)とみられる路上爆弾に接触し、警察官6人と民間人3人が負傷。イスラム国(ISIS)が犯行声明を出した。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。

医療当局は約3000万人の子供にポリオワクチンを接種する予定だ。今年1月以来、17人のポリオ感染者が報告されている。

ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。

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