▽両派の抗争は昨年11月21日に激化。武装集団がシーア派の信徒を乗せたバスや車を攻撃し、52人が死亡した。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州クラム地区で対立するイスラム教シーア派とスンニ派のグループが武器を置くことに合意した。現地メディアが1日に報じた。
両派の抗争は昨年11月21日に激化。武装集団がシーア派の信徒を乗せたバスや車を攻撃し、52人が死亡した。逮捕者は出ていない。
この攻撃後、いくつかの地域で敵対するグループによる報復が相次ぎ、少なくとも130人が死亡、200人以上が負傷した。
クラム地区に通じる幹線道路は全て封鎖され、食料、医薬品、燃料の輸送が困難になっている。
両派はその後、停戦に合意したものの、緊張は続き、AP通信によると、クラム地区に通じる道路は1日時点ですべて閉鎖されたままだという。
APは州政府高官の話しとして、「双方の酋長たちは武器を置き、和平合意署に署名した」と伝えている。
それによると、複数の長老が交渉を仲介し、クラム地区の道路封鎖もまもなく解除される見通し。
地元メディアによると、この道路封鎖で医薬品が不足し、少なくとも100人の患者が適切な治療を受けられずに死亡したという。
当局はこの数週間、ヘリコプターで医薬品を運び込んでいた。
APによると、両派は今回の和平合意で地区内の地下壕を解体し、武器を政府に引き渡すことを約束したという。
パキスタンの人口は約2億4000万人。99%がイスラム教徒で、シーア派の割合は15%と推定されている。
両派は概ね平和的に共存しているが、シーア派が多数派の地域、特にカイバル・パクトゥンクワ州では数十年にわたり緊張状態が続いている。