◎ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
パキスタンで16日、今年最後の全国ポリオワクチン接種キャンペーンが始まった。
同国は10月末から段階的にワクチン接種を進めている。対象は5歳以下の児童約4500万人。
世界保健機関(WHO)によると、パキスタンと隣国アフガニスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。
パキスタンでは今年、63人の患者が確認されている。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
首相府の首席補佐官は16日の声明で、「今年最後のキャンペーンは12月22日まで続く」と述べた。
また補佐官は市民に対し、「ワクチンを恐れず、医療従事者の指示に従ってほしい」と呼びかけた。
WHOによると、今年パキスタンで確認されたポリオ患者のほとんどがアフガンと国境を接する南西部バルチスタン州と北西部カイバル・パクトゥンクワ州で報告されている。感染者数は昨年の4倍に達した。
接種キャンペーンを担当する医療従事者や護衛の警察官は何度も暴力に見舞われている。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。