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パキスタン政府、イスラム主義政党TLPを非合法化

TLPはイスラム強硬派政党であり、預言者ムハンマドへの冒涜に対する厳罰を求める運動から発展した組織である。
2025年10月13日/パキスタン、東部パンジャブ州ラホール近郊、親パレスチナデモが行われた現場(AP通信)

パキスタン政府は23日、東部ラホール近郊で警察官1人と民間人4人が死亡した暴動を主導したイスラム主義政党「パキスタン・ラバイク運動(TLP)」を非合法化すると発表した。

このデモは10月13日に行われ、その多くが暴徒化し、警察官1人を含む少なくとも5人が死亡、100人以上の警察官が負傷した。

デモ隊はパレスチナ支援集会開催のため、首都イスラマバードへ行進しようとしていた。

シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は声明で、「内閣はTLPの暴力・過激活動への関与を理由に、反テロ法に基づき、非合法化することを閣議決定した」と述べた。

TLPが活動を禁じられたのは近年で2度目となる。

TLPは2021年4月、フランスでイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画が掲載されたことに抗議する暴動を起こし、初めて非合法化された。

TLPは当時、駐フランス大使の国外退去を要求していた。

カーン前政権は2021年11月、TLPの禁止令を解除。この措置は同団体の政治活動再開を許したとして、他の多くの政党から批判を浴びた。

TLPはイスラム強硬派政党であり、預言者ムハンマドへの冒涜に対する厳罰を求める運動から発展した組織である。

2015年に設立され、党首はより厳格なイスラム法を適用すべきと主張していた。

TLPの名称「ラバイク」は「あなたの呼びかけに応えます」という意味で、ムハンマドへの忠誠を象徴している。

TLPは、2011年にパンジャブ州知事が冒涜罪に反対する発言を行ったために暗殺された事件の容疑者を英雄視し、その支持者たちを中心に勢力を拡大した。以後、TLPは政府や軍に対して繰り返し抗議デモや道路封鎖を行い、しばしば暴力的な衝突を引き起こしている。

政治的には宗教保守層の支持を受け、2018年の総選挙では一定の議席を獲得した。TLPは国家に対して預言者への冒涜を容認しない姿勢を求め、外交問題、特にフランスなど西欧諸国との関係にも影響を与えている。

その活動は、信仰の名のもとに言論や少数派の自由を制限する側面を持つ一方で、民衆の宗教的感情を背景に強い政治的影響力を維持している。

 
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