◎パキスタン政府は2年ほど前からポリオ撲滅キャンペーンを展開しており、感染者は減少傾向にある。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州でポリオワクチン接種キャンペーンに参加していた医療従事者が武装集団の攻撃を受け、警護に当たっていた警察官1人が死亡した。地元当局が9日、明らかにした。
それによると、事件は同州中心部の地区で28日に発生。キャンペーン期間は1週間、対象は同州の児童約270万人だという。
犯行声明は出ておらず、警察が捜査を進めている。武装集団は銃撃後、車で逃亡した。
ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率は地域によって異なるが、ワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。
パキスタン政府は2年ほど前からポリオ撲滅キャンペーンを展開しており、感染者は減少傾向にある。
パキスタンのポリオ撲滅に向けた取り組みは何度も暴力に直面している。
パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオキャンペーンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。
パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない国である。
パキスタン政府は9日、ポリオ撲滅に向けた取り組みを継続すると改めて表明した。