◎パキスタンとアフガニスタンでは一部地域でポリオ患者が確認されている。
パキスタン政府は15日、5歳未満の児童4420万人を対象とする今年最初のポリオワクチン接種キャンペーンを開始した。
パキスタンとアフガニスタンでは一部地域でポリオ患者が確認されている。
ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率は地域によって異なるが、ワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、妊婦はさらに高いと推定されている。
シャリフ(Shahbaz Sharif)首相は15日、首都イスラマバードの児童に対する経口生ポリオワクチン接種を視察し、キャンペーンの開始を宣言した。
シャリフ氏は演説の中で、「残念なことに、パキスタンでは多くの家族がこの病気に悩まされている」と語った。
保健当局によると、昨年は北ワジリスタン地区で20件の感染が報告されたものの、コロナウイルスやインフルエンザのように拡大することはなかったという。
保健当局は156地区の児童4420万人に順次ワクチンを接種していく予定だ。
最も対象者の多い州は中部パンジャブ州の2254万人。次点は南部シンド州の1010万人、北部カイバル・パクトゥンクワ州が740万人と続く。
シャリフ氏はキャンペーンを支援する世界保健機関(WHO)や人権団体などに謝意を表し、「ワクチンはポリオ撲滅に欠かせない」と強調した。
その後、第一線で活躍する医療従事者などに感謝状が贈られた。
パキスタンではポリオワクチンチームや活動家に対する攻撃が相次いでいる。
アフガン国境に近い北西部タンク地区では昨年8月、武装勢力がワクチン接種会場を襲撃し、警察官2人を射殺した。
イスラム過激派などの武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ワクチンチームを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、接種会場や医療関係者を標的にしている。