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パキスタン、イラン問題で地域諸国を招致、ホルムズ海峡の安全確保議論


今回の会合は米国とイスラエルによるイラン攻撃を発端とする戦闘が拡大する中で開催された。
2026年3月29日/パキスタン、首都イスラマバード、サウジアラビア、トルコ、エジプト、パキスタンの外相(ロイター通信)

パキスタンの首都イスラマバードで29日、イランを巡る軍事衝突の拡大を受けた地域協議が開かれ、サウジアラビアやトルコ、エジプトなどの主要国が参加した。協議では世界のエネルギー供給に直結するホルムズ海峡の安全確保と再開に向けた具体策が主要議題となり、緊迫する中東情勢の打開を目指す外交努力が本格化している。

今回の会合は米国とイスラエルによるイラン攻撃を発端とする戦闘が拡大する中で開催された。戦闘は開始から1カ月が経過し、地域全体に波及しつつある。こうした中、パキスタンは中立的立場を維持しながら、各国間の橋渡し役として外交的存在感を強めている。実際、同国は米国とイランの間でメッセージを仲介し、将来的な直接交渉の開催地としても位置付けられている。

協議の最大の焦点はホルムズ海峡の航行問題である。同海峡は世界の原油や液化天然ガスの約2割が通過する重要な海上輸送路だが、イランは軍事衝突への対抗措置として通航を事実上制限している。この影響でエネルギー供給や物流が大きく混乱し、世界経済にも波及している。

会合では、海峡の安全な再開に向けたいくつかの提案が議論された。関係国はスエズ運河のように通行料を課す仕組みや、トルコやエジプト、サウジアラビアなどが関与する海上輸送管理の枠組みを検討しているとされる。これらは航行の安全確保と同時に、関係国間の信頼醸成を図る狙いがある。

また、一定の進展も見られている。パキスタンのダール(Ishaq Dar)外相は29日、イランがパキスタン籍の船舶に対し通航を認め、複数の船が海峡を通過できるようになったと明らかにした。これは緊張緩和に向けた「前向きな兆候」と受け止められているが、全面的な航行再開には至っていない。

一方で情勢は依然として不安定である。イランは米国による地上侵攻の可能性に強く反発し、報復を警告しているほか、イエメンの親イラン組織フーシ派なども戦闘に加わり、地域紛争は多層化している。これにより、紅海や湾岸地域の航路にも影響が広がり、国際的なエネルギー供給網が脅かされている。

参加国はいずれもエネルギー輸送や貿易において湾岸地域への依存度が高く、海峡の安定は自国経済に直結する問題である。このため、軍事的対立の激化を回避しつつ、現実的な航行確保策を模索する姿勢が共通している。

ただし、外交努力が実を結ぶかは不透明だ。イランは米国の停戦提案を「一方的」と拒否、交渉の糸口は限定的である。戦闘が続く限り、ホルムズ海峡の完全な再開は難しく、世界経済への影響も長期化する可能性がある。

今回の協議は地域大国が主導する多国間外交の試みとして注目される。軍事衝突が拡大する中で、エネルギー安全保障と国際貿易を守るための現実的な解決策を見いだせるかが、今後の焦点となる。

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