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パキスタンが「ニパウイルス」検査を導入、隣国インドでの感染確認受け

パキスタン当局は隣国インドでニパウイルス感染者が確認されたことを受けて、国境サービスを通じて監視態勢の強化を急務と位置付けている。
ニパウイルスのイメージ(Getty Images)

パキスタン政府は29日、致死性の高い「ニパウイルス」の感染拡大を警戒し、同国に入国するすべての旅行者に対する健康チェックを強化すると発表した。これにより、空港だけでなく陸路や港湾など全ての入国ポイントで検疫措置が実施されることになる。パキスタン当局は隣国インドでニパウイルス感染者が確認されたことを受けて、国境サービスを通じて監視態勢の強化を急務と位置付けている。

保健当局は声明で、「予防と監視措置を強化することが不可欠である」とした上で、入国者全員に対し体温測定や臨床評価を義務付け、過去21日間の渡航履歴の提出を求めると説明した。この措置は感染のリスクが高い地域を経由した旅行歴があるかどうかを確認する目的があるという。

ニパウイルスはコウモリや豚などの動物を介してヒトに感染することが多く、発熱や脳炎といった症状を引き起こす。致死率はWHO(世界保健機関)によると、40%から75%に達する可能性があるとされる。ヒトからヒトへの感染は限定的で、空気感染はせず、現時点で効果的なワクチンや特異的な治療法は存在しない。

今回の措置はインド東部の西ベンガル州で昨年12月に医療従事者2人の感染が確認されたことを受けた対応の一環だ。インド国内では接触者約200人を追跡・検査を行った結果、いずれも陰性で感染拡大は見られないとしているが、周辺国では不安が高まっている。

パキスタン以外でもアジア各国がニパウイルス対策を強化し、タイ、シンガポール、香港、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどが入国者に対する検査や健康申告の義務化、体温スクリーニングなどの措置を実施している。これらの国々は感染リスクがある地域からの入国者を特定し、早期に症状を把握することを目的としている。

一方、インド政府は現在のところ空港での検疫強化は必要ないとの立場を示し、2件の感染例が局所的であることから、広範な感染拡大は認められないとしている。

ニパウイルスは1990年代後半にマレーシアとシンガポールで最初に発見されて以降、東南アジアで散発的な感染が報告されている病原体であり、WHOはこれを優先的対応が必要な病原体に指定している。2025年12月時点で、世界では約750件の感染が確認され、415人が死亡したとのデータもある。

このような状況を受け、パキスタン政府は国民と訪問者に対し、感染疑い症状が見られた場合には直ちに医療機関へ相談するよう呼びかけ、国境を越えた健康監視と地域内での協力強化を図る姿勢を示している。

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