パキスタン・アフガン国境沿いで銃撃戦、ケガ人の情報なし、非難の応酬に
パキスタン政府とタリバン暫定政権は双方とも相手が先に発砲したと非難する声明を出した。
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パキスタン南東部のアフガニスタン国境検問所付近で5日、両国軍による銃撃戦が発生した。
現地メディアによると、死傷者や建物被害の報告はないという。
パキスタン政府とタリバン暫定政権は双方とも相手が先に発砲したと非難する声明を出した。
銃撃戦はチャマンの国境検問所近くで5日夜に発生。パキスタン側の警察関係者は地元テレビ局のインタビューで、アフガン側が先に発砲したと主張。治安部隊が即座に応戦したと説明した。
一方、タリバンのムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官は「パキスタン側による攻撃を受けた」と主張した。どちらの主張が正しいかは確認できておらず、双方が互いに責任を転嫁している。
この銃撃戦は両国が10月に合意した停戦(カタール仲介)が続いてきた中で起きた。停戦合意以降、チャマンおよび北西部トルカムの国境検問所といった主要通過点は封鎖された状態が続いていたが、前日、国連による人道支援物資の通過を認める方針が発表されていた。
今回の衝突と支援受け入れ再開は時間的に近く、国境再開の動きとあわせて緊張が再び高まった形である。
先月以降、この地域では両国間で武力衝突が散発しており、最も深刻だった10月の衝突では双方で多数の死傷者が報告された。
今回のように「被害なし」で済んだ事例は珍しく、停戦合意の効果と見なす見方もある。しかし、双方が再び銃撃で応酬した事実は、脆弱な和平状態が依然として不安定であることを示すものである。
パキスタン側は同国国内の治安を揺るがすイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)がアフガン国内に拠点を持ち、そこからパキスタン国内で攻撃を繰り返していると非難。アフガン側はこれを否定している。
今回の発砲事件を受け、両国が今後も停戦を維持できるかは不透明だ。人道支援再開という国際社会の関与が進む一方で、国境地帯での軍事的緊張が繰り返されれば、支援活動にも影響が及ぶ恐れがある。
国際社会や近隣国、関係者は慎重な事態の推移と、さらなるエスカレーションの回避を呼びかけている。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切った。
