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パキスタン・アフガン紛争、双方の主張に食い違い、人道危機拡大

パキスタン軍は6日、最近の戦闘でアフガン側の兵士数十人を殺害したと発表した。
2026年2月27日/アフガニスタン東部のトルカム国境検問所近く、パキスタン側に標準を合わせるタリバンの戦闘員(AP通信)

パキスタンとアフガニスタンの国境地帯で激しい戦闘が続き、両国が互いに相手側の兵士を多数殺害したと主張する事態となっている。双方の軍は連日、空爆や砲撃、地上戦を展開、戦闘が1週間以上続いている。両国が発表する死傷者数は大きく食い違っており、正確な被害状況の確認は困難な状態だ。

パキスタン軍は6日、最近の戦闘でアフガン側の兵士数十人を殺害したと発表した。一方、アフガンのタリバン暫定政権も自国軍がパキスタン軍に大きな損害を与え、多くの兵士を殺害したと主張している。双方は互いに軍事拠点を攻撃し合い、国境沿いの複数の地点で交戦が続いている。

今回の衝突はパキスタンが2月下旬にアフガン領内を空爆したことをきっかけに急激に拡大した。パキスタン政府は国内で相次ぐテロ攻撃の背後にTTP(パキスタンのタリバン運動)などの過激派・武装勢力があり、それらがアフガン側に拠点を置いていると主張している。このため、武装勢力の拠点を狙った「情報に基づく精密攻撃」だとして空爆を正当化した。

タリバン暫定政権はこれを強く非難、主権侵害だと反発した。アフガン側はこの空爆で民間人が死亡したと主張し、報復としてパキスタン軍の拠点や国境警備施設を攻撃したと説明している。こうして両国は空爆や砲撃を応酬する形となり、戦闘は急速に激化した。

国境地帯では連日、重砲やロケット弾による攻撃が行われ、住民の避難も広がっている。国連によると、戦闘発生以来、アフガン側では11万5000人以上が家を追われ、パキスタン側でも数千人が避難を余儀なくされた。民間人の死傷者も報告され、人道状況の悪化が懸念されている。

戦闘はラマダン(イスラム教の断食月)の期間中にも続き、日没後の食事の時間帯に砲撃が始まることもあるという。国境周辺では爆発音や銃撃が絶えず、住民の間で不安が広がっている。民家や商店が被害を受けた地域もあり、生活への影響は深刻だ。

外交的な解決を求める声も出ている。トルコやマレーシアなどが仲介を申し出ているほか、国連も双方に対して即時停戦を呼びかけている。しかし、パキスタン政府は越境攻撃の原因となる武装勢力の取り締まりが行われない限り、軍事行動を続ける可能性を示唆している。

パキスタンとアフガンの関係は長年緊張状態にあり、2600キロに及ぶ国境をめぐる衝突はこれまでも繰り返されてきた。2021年にタリバンが政権を握って以降、パキスタン国内での武装勢力による攻撃が急増、両国の不信感はさらに強まっている。

現在の戦闘は近年で最も深刻な軍事衝突の一つとみられている。双方が「戦争状態」に近い強硬な姿勢を示す中、国境紛争が全面戦争へ発展する可能性も指摘されている。

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