太平洋諸島環境プログラム、米国に正式な離脱手続きを遵守するよう求める
SPREPはサモアを拠点とし、気候変動や汚染対策、自然災害対応など太平洋の小島嶼国を支援してきた数十年の歴史を持つ環境保全組織だ。
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太平洋の環境保全を担う地域組織「太平洋地域環境計画事務局(SPREP)」は8日、米国が同組織から脱退する場合には正式な手続きを踏む必要があると強調した。これはトランプ(Donald Trump)米大統領が「国益に反する」として66の国際機関・枠組みからの離脱を表明したことを受けたもので、SPREP側は法的・規約上の手続き順守を求める姿勢を示した形だ。
SPREPはサモアを拠点とし、気候変動や汚染対策、自然災害対応など太平洋の小島嶼国を支援してきた数十年の歴史を持つ環境保全組織だ。海面上昇による生存の脅威や気象災害への備えなど、国際的な気候交渉の場でも加盟国の声を代弁してきた。加盟国はフィジー、ソロモン諸島、バヌアツ、マーシャル諸島など150以上に上る。
SPREPの事務局長は声明で、「米国が正式な脱退手続きを完了するまでは、SPREPの重要なメンバーとして評価される」と述べ、離脱表明だけでは即時の脱退とはならないと指摘した。また、米国の資金提供や技術協力は組織運営にとって重要であったが、他の加盟国・パートナーの支援によって活動継続が可能であるとの見解も示した。
SPREPの最新の年次報告によると、同組織の年間予算は主にオーストラリア、イギリス、ニュージーランド、フランス、米国といった加盟国の拠出金で賄われ、中国も年約20万ドルの支援を行っている。こうした多国間の資金構成から、米国の脱退は財政面でも影響を与える可能性があるとみられている。
太平洋諸国のある政府関係者は、米国のSPREP脱退表明は地域における同国の影響力低下を招く恐れがあると懸念を示している。特に中国が地域への関与を強めていることを背景に、米国の関与縮小が地政学的なバランスに影響を与えるとの見方があるという。
今回の脱退表明には、太平洋諸島の国民が米国へ入国する際のビザ(査証)要件強化など、外交・移動面での新たな摩擦も絡んでいる。フィジー、バヌアツ、ツバル、トンガなどの国民は2026年1月21日から高額なビザ保証金の支払いを求められるなど、移動制限が強化される見込みだ。トンガではすでに1月1日から入国制限が適用されている。こうした措置が米国と太平洋諸国間の関係にどのような影響を及ぼすかは不透明だ。
米国務省はこの件に関してコメントを出していない。SPREPは引き続き正式な脱退手続きの詳細について協議を進めるとしており、加盟国や支援国との連携を維持しつつ活動を継続する方針だ。地域の環境保全や気候変動対策に対する国際協力の枠組みとしての機能が、今後どのような形で維持されるかが注目される。
