SHARE:

パキスタン・アフガン国境衝突、子供含む5人死亡、8人負傷、非難の応酬に

事件はアフガン南部カンダハル州の国境地帯で発生。死亡した5人のうち、1人は女性、3人は子どもであった。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州の治安部隊(Getty Images)

パキスタン南東部のアフガニスタン国境検問所付近で5日に発生した銃撃戦について、アフガン側で少なくとも5人の民間人が死亡、少なくとも8人が負傷した。タリバン当局が6日、明らかにした。パキスタン側でも民間人が数名負傷したとの報告がある。

事件はアフガン南部カンダハル州の国境地帯で発生。死亡した5人のうち、1人は女性、3人は子どもであった。

一方、パキスタン側の負傷者は少なくとも3人で、こちらにも女性が含まれているとのこと。銃撃と砲撃は夜間に始まり、明け方まで断続的に続いたとされる。パキスタン警察は衝突が未明まで続いたと報告している。

両国は互いに責任を転嫁しあっており、どちらが先に発砲したのかについて主張が対立している。アフガン側はパキスタン軍による先制攻撃と主張、これに対しパキスタン側はアフガン側が先に発砲したと反論。どちらも停戦合意を破ったとして非難し合った。

今回の衝突は両国間の緊張が急激に高まっていた折に発生した。10月にも国境付近で大規模な衝突が起き、多数の兵士、民間人、武装勢力が死傷した。

これを受け、カタールの仲介で停戦が結ばれていたが、和平交渉はほとんど進展していなかった。

今回の衝突は両国の関係の脆弱さと、停戦協定の実効性に対する疑問を改めて浮き彫りにした。住民は戦闘の最前線に巻き込まれ、子どもや女性が犠牲になる悲惨な結果となった。

また、この銃撃の直前に、パキスタン政府は主要な通商・人道支援ルートである国境検問所を通じた国連支援物資の輸送を再開する意向を示しており、通常化の兆しが見えかけていた中での衝突発生だった。これには国際社会や人道支援関係者の間にも衝撃が走っている。

なお、パキスタンでは今回の衝突とは別に、アフガン国境付近でイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)に対する治安作戦も継続されており、当局はTTPの戦闘員数人を殺害したと発表している。これもまた、両国の緊張状態を複雑化させる要因だ。

TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切った。

今回の衝突は停戦合意という表面的な安定がいかに脆弱かを示すものとなった。国境地帯の住民は厳しい現実に直面し、人道支援や安全保障の重要性が改めて浮き彫りになっている。今後、両国政府および国際社会がどのように関与し、恒久的な和平への道を模索するかが注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします