◎ジョコビッチ選手は入国ビザの取り消しに異議を申し立て、最初の法廷審問は1月10日に設定された。
2022年1月6日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルン、ノバク・ジョコビッチ選手が収容されたと伝えられているホテル(Joel Carrett/AAP/AP通信)

1月7日、セルビアのテニススター、ノバク・ジョコビッチ選手はオーストラリアの移民収容ホテルに連行され、閉じ込められた。

コロナワクチンに懐疑的なジョコビッチ選手は今週、まもなく開幕する全豪オープンテニスに先立ち、ビクトリア州当局にワクチン接種規則の免除を受けたと明らかにし、入国した。しかし、オーストラリア国境警備隊は6日、ジョコビッチ選手の入国ビザを取り消した。

オーストラリア放送協会(ABC)によると、ジョコビッチ選手は入国ビザの取り消しに異議を申し立て、最初の法廷審問は1月10日に設定されたという。全豪オープンテニスは1月17日に開幕する。ジョコビッチ選手は同大会を9度制している。

ジョコビッチ選手のファンは、亡命希望者の扱いに反対する人権活動家などと一緒にメルボルンの収容ホテル前で抗議した。

オーストラリアの亡命、難民申請手続きは欧米の主要国より厳しく、国際的な人権団体や活動家から非難されている。

ジョコビッチ選手が収容されたと伝えられているメルボルンのホテルで亡命申請の許可を待っている男性は英BBCニュースの電話取材に対し、「追い詰められている」と語った。「新鮮な空気と日光が恋しいです...」

この男性は12月末の夕食にウジがわいていたという情報と写真を共有し、「私はウジつきのブロッコリーを2つか3つ食べた」と明かした。

オーストラリアのSBSニュースは昨年末、この男性がソーシャルメディアで共有した写真をまとめている。

ジョコビッチ選手の父親はメルボルンの収容ホテルを「劣悪」と呼び、息子は囚人のように扱われていると非難した。セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領もインスタグラムに、「セルビアのスターを悪名高いホテルから移動させるよう当局に要請した」と投稿した。

一方、収容ホテル前で抗議を続けている活動家と主要な人権団体は、厳しい環境から抜け出すためにオーストラリアへの亡命を求めた人々とジョコビッチ選手の状況は大きく異なると強調した。

人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は6日、「ノバク・ジョコビッチは収容ホテルで一晩過ごしたが、亡命希望者は何年もそこに閉じ込められている」とツイートした。「オーストラリアの亡命希望者に対する扱いは非人道的で、完全に国際法違反です」

またHRWは、「2日3日立ち往生しても世界は終わらないが、無期限拘束されるとなると話は別」と強調した。「ジョコビッチはある時点で出国できると保証されています。しかし、命がけでオーストラリアにたどり着いた難民は違います。彼らは国外追放されれば殺されるかもしれません...」

ABCによると、メルボルンの収容ホテルにはオーストラリアに亡命を求めている希望者のおよそ半分が収容されているという。

クルド人難民の男性は昨年、英ガーディアン紙のインタビューの中で、ホテルの部屋を「棺桶」と呼んだ。この男性はメルボルンの収容ホテルなどで1年以上待機を余儀なくされている。

ジョコビッチ選手が収容されたホテルは昨年、亡命希望者の約半数がコロナ検査で陽性と診断されたことで話題を集め、スタッフはホテルをウイルスの「インキュベーター(生まれたばかりの乳児を育てる保育器)」と呼んだ。

ジョコビッチ選手はコロナワクチンを接種したかどうかを明らかにしていないが、昨年4月に「接種を強制されたくない」と述べていた。なお、ジョコビッチ選手は2020年6月にコロナに感染している。

オーストラリアのコロナ対策は西側諸国の中で最も厳しく、市民の生活に深刻な影響を与えたため、ジョコビッチ選手に対する免除は大いに物議を醸し、ソーシャルメディアには「有名人または金持ちの特権に反対する」という投稿が相次いで寄せられた。

保健当局によると、ビクトリア州の6日のコロナ新規陽性は22,000件近くに達し、過去最多を大きく更新した。

2021年2月21日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルンで開催された全豪オープンテニスの表彰式、ノバク・ジョコビッチ選手(Getty Images/AFP通信)
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