◎アレックス・ホーク移民大臣はビザの取り消し権を再行使するかどうかを検討している。
2022年1月10日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルンの裁判所前、ノバク・ジョコビッチ選手のビザ復活を祝う女性(Mark Baker/AP通信)

1月10日、オーストラリアの地方裁判所はビザを取り消されたテニススター、ノバク・ジョコビッチ選手の入国を認めたが、政府はビザの再取り消しを検討していると明らかにした。

コロナワクチンに懐疑的なジョコビッチ選手はメルボルンの移民収容ホテルに4泊し、自由を勝ち取った。一連のメロドラマはオーストラリアだけでなく世界の注目を集めている。

連邦巡回裁判所の判事はジョコビッチ選手のビザを復活させ、入国を認めていると裁定した。全豪オープンテニス会場のあるビクトリア州政府によると、大会に出場する選手および関係者は入国前にコロナワクチンを接種するか、独立した専門家委員会にワクチン接種免除を申請し許可を受ける必要がある。

ワクチン免除申請は2つの独立した委員会によって評価される。オーストラリア放送協会(ABC)によると、免除は心臓病やその他の特定の基礎疾患を持つ人、コロナワクチンを接種し深刻な副反応に見舞われたことがある人、「過去6か月以内にコロナに感染し回復した人」などに適用される。

判事は、「ジョコビッチ選手はビザ取り消しが決まる前に弁護士と話す時間をほとんど与えられていなかった」と裁定し、ホテルから解放するよう政府に命じた。

しかし、政府の弁護士は判決後の記者会見で、「アレックス・ホーク移民大臣はビザの取り消し権を再行使するかどうかを検討している」と語った。ABCによると、移民法はその幅広い裁量権に基づき、ジョコビッチ選手のビザを再び取り消すことができるという。

ホーク移民大臣の報道官は10日、「ビザを取り消すか否かは現在検討中」と述べた。報道によると、移民省は11日に声明を発表する予定だという。

解き放たれたジョコビッチ選手は10日遅くのツイートで、収容ホテルを出てから数時間後にメルボルンの会場で練習を行ったと明らかにした。

ジョコビッチ選手はツイートの中で、「全豪オープンにとどまり、競争したいと思っている」と語った。「私は大会に向け集中し続けています。私は素晴らしいファンの前でプレーするためにオーストラリアに来ました」

全豪オープンテニスは1月17日に開幕する予定。ジョコビッチ選手は同大会を9度制しており、今回優勝すればグランドスラム優勝回数歴代1位(通算21回)に躍り出る。

<グランドスラム優勝回数5傑>
1位:ロジャー・フェデラー 20回
1位:ラファエル・ナダル 20回
1位:ノバク・ジョコビッチ 20回
4位:ピート・サンプラス 14回
5位:ロイ・エマーソン 12回

ジョコビッチ選手の家族はセルビアの首都ベオグラードで記者会見を開き、裁判所の決定を称賛をした。母親のディジャナ・ジョコビッチ氏は今回の騒動と裁判を「息子のキャリアの中で最大の勝利」と呼んだ。

またディジャナ・ジョコビッチ氏は、西側諸国の中で最も厳しいオーストラリアの難民申請を非難し、「息子は拷問や嫌がらせを受けた」と主張した。

父親は「正義が勝った」と喜びを爆発させ、息子は法律に基づいて選択する権利を行使しただけと強調した。「当局は息子に免除の条件を提示したにもかかわらず、空港でビザを破り捨て、逮捕しました...」

オーストラリアのコロナ対策は西側諸国の中で最も厳しく、ワクチンを接種していないテニス選手の入国を認めるという当局の方針は市民の怒りを引き起こした。

ソーシャルメディアには裁判所の決定を支持する投稿が相次いで寄せられたが、一部のオーストラリア人と批評家は「重要な問題を忘れるべきではない」とくぎを刺した。

ABCは8日、ジョコビッチ選手の弁護士が当局に提出した文書を初めて公開し、ジョコビッチ選手は12月16日にコロナ検査で陽性と診断されていたことが明らかになった。

しかし、ジョコビッチ選手は陽性診断を受けた翌日にセルビア国内で開催された式典に出席し、マスクレスで関係者と握手する様子をツイートしていた。

またAFP通信によると、ジョコビッチ選手は同じく17日にテニスの練習場でセルビアの若手選手とマスクレスで写真を撮影していたという。この時ジョコビッチ選手が陽性を認識していたかどうかは不明。

2022年1月10日/オーストラリア、ビクトリア州メルボルンの裁判所前、ノバク・ジョコビッチ選手の応援団(Mark Baker/AP通信)
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