北朝鮮ハッカーが暗号資産取引所にサイバー攻撃、数十億ドル窃取
北朝鮮のサイバー攻撃は、国家主導で行われるサイバー作戦として世界的に注目されている。
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北朝鮮の国連制裁回避を監視・摘発する多国間制裁監視チーム(MSMT)は22日、北のサイバー犯罪に関する報告書を公表した。
それによると、北のハッカーは暗号資産取引所に侵入し、偽の身分証を使って昨年1月から今年9月までに28億4000万ドル(約4300億円)を盗み出したという。
韓国、米国、日本を含む11カ国は昨年10月、国連安保理の制裁回避を摘発するため、MSMTを設立した。
MSMTは報告書の中で、「北朝鮮当局が核兵器の研究開発資金を調達するため、この秘密工作を指揮していた」と結論付けた。
またMSMTは「北朝鮮が核計画に関連する制裁を回避するため、資金洗浄や軍事物資購入に仮想通貨を利用している」と指摘。北のハッカーがネットワーク妨害や機密データ窃取を目的としたマルウェアで外国企業・組織を標的にしたと説明した。
北朝鮮のサイバー攻撃は、国家主導で行われるサイバー作戦として世界的に注目されている。
目的は外貨獲得、情報窃取、体制維持に関わる諜報活動など多岐にわたる。北朝鮮は経済制裁の影響で資金調達手段を制限されており、その代替としてサイバー空間を利用しているとされる。
代表的な攻撃組織には「ラザルス(Lazarus)グループ」があり、2014年のソニー・ピクチャーズへの攻撃や、2017年に世界中で被害をもたらしたランサムウェア「WannaCry」事件などに関与したとみられている。
また、暗号資産取引所へのハッキングも活発で、数億ドル規模の被害が報告されている。北朝鮮は高度な技術を持つハッカーを育成し、国外からも攻撃を行う体制を整えていると分析される。
これらの活動は軍や情報機関と連携し、国家戦略の一環として実施されている点が特徴である。結果として、北朝鮮のサイバー攻撃は軍事的・経済的・政治的影響を及ぼす新たな脅威となっている。