◎一団は今月6日に北方限界線(NLL)を越え、海軍の哨戒艇に拿捕された。
韓国と北朝鮮の国境・北緯38度線(Getty Images)

韓国統一省は18日、北朝鮮人の一団が漁船で南北の境界線である北方限界線(NLL)を越えたと明らかにした。

同省によると、一団は今月6日にNLLを越え、海軍の哨戒艇に拿捕されたという。

同省の報道官は記者会見で、「一団の取り調べを続けており、現時点で公表できることは限られている」と語った。

一団の人数や国境を越えた理由は明らかになっていない。

同省の統計によると、南に逃亡した北朝鮮人の数はこの20年、毎年1000人を超えていたが、2020年のパンデミック以降は100人程度に減少したという。

2020年には229人が亡命。21年と22年は100人を下回った。今年は現時点で34人が脱北している。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)はレポートの中で、「コロナの大流行以降続く脱北者の減少は、過去にはみられなかった現象」と説明している。

それによると、脱北者が激減した主な理由は北がコロナの流入を防ぐために国境警備を強化したためだという。

またCSISは北が韓国での生活を「悲惨・陰鬱・絶望」と広報するキャンペーンを大々的に行い、脱北者を減らすことに成功した可能性があると述べている。

北の情報を整理・集約する「38ノース(38North)」によると、北の食料価格は昨年の不作の影響で高騰し、米より安価なトウモロコシも手に入りにくい状態が続いているとみられる。

北は世界で最も貧しい国のひとつである。米中央情報局(CIA)の2015年の推定値によると、北の1人あたりGDPは約1700ドル、韓国は約3万5000ドルである。

北で1994~98年頃に発生した大飢饉による餓死者および栄養不足に関連する病で死亡した市民は200万~350万人と推定されている。一部のアナリストはこれに近いレベルの飢饉が発生、もしくはすでに発生している可能性があると指摘している。

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