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「金正恩の後継者は10代の娘ジュエ」韓国情報機関が評価更新


この見解は首都ソウルの国会で行われた非公開の報告で示されたもので、出席した議員によると、NISはジュエの政治的地位について、「事実上の後継候補」と位置付けた。
北朝鮮、金正恩 党総書記(左)と娘のジュエ(KCNA/ロイター通信)

韓国の情報機関が北朝鮮の後継体制を巡り、評価を更新した。国家情報院(NIS)は6日、金正恩(Kim Jong Un)党総書記の10代の娘ジュエ(Ju-Ae)について、「後継者とみなすのが妥当だ」との評価を示し、同国の権力継承に関する分析を一段と強めた。

この見解は首都ソウルの国会で行われた非公開の報告で示されたもので、出席した議員によると、NISはジュエの政治的地位について、「事実上の後継候補」と位置付けた。これまで同機関は「後継者教育の段階」としていたが、今回はより明確に踏み込んだ表現となり、北朝鮮が4代世襲体制に移行する可能性が現実味を帯びてきたことを示している。

ジュエの年齢は12~13歳とみられる。国営朝鮮中央通信(KCNA)は氏名など詳細な個人情報を明らかにしていないが、「最も愛する子」や「尊敬する子」といった特別な表現で言及してきた。こうした呼称は歴代指導者にのみ使われてきた敬称に近く、体制内での象徴的な地位の高さを示唆している。

ジュエは2022年11月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験への同行で初めて公の場に姿を現して以降、軍事パレードや兵器開発施設の視察、外交関連行事など、国家の重要イベントに繰り返し登場してきた。最近では戦車の操縦や銃の扱いを行う様子も公開されており、韓国側はこれを「軍事的指導者像を演出する意図的なプロパガンダ」と分析している。

また、ジュエが祖父である金正日や曽祖父金日成の遺体が安置される錦繍山太陽宮殿を訪問したことも、後継演出の重要な象徴と受け止められている。この施設は体制の正統性を体現する聖地とされ、そこへの同行は血統継承を内外に示す政治的意味合いが強い。

北朝鮮は1948年の建国以来、金一族による世襲支配が続いてきた。初代の金日成から金正日、そして現在の金正恩へと権力が継承されてきたが、いずれも男性指導者であった。今回の分析が示唆するように、娘が後継者となれば初の女性最高指導者が誕生する可能性があるものの、男性中心の政治文化が根強い同国において、その実現性には慎重な見方も残る。

一方で、NISはキムの妹である金与正(Kim Yo-jong)について、従来考えられていたほどの実権は持っていないとの見方も示した。金与正は長らく体制内で2番手と目されてきたが、今回の評価は権力構造の再解釈を迫るものとなっている。

ただし、専門家の間では依然として慎重論も強い。キムはまだ40代前半と若く、直ちに後継者を正式指名する必要性は高くないとの指摘がある。また、ジュエは常に父親に付き添う形で登場しており、独自の政治的役割を担っている兆候は限定的だとする見方もある。

それでも、近年の動きは単なる家族的な演出の域を超えつつある。韓国当局はジュエが政策判断に関与し始めている可能性や、内部的にはすでに「後継者指定段階」に入っている兆候もあるとみている。

北朝鮮の権力継承はこれまでも極めて不透明であり、急激な変化や権力闘争を伴ってきた歴史がある。今回の評価はあくまで情報分析に基づくもので、公式に後継が発表されたわけではないが、体制の将来像を占う上で重要な手がかりとなる。

NISがここまで踏み込んだ見解を示したことは、北朝鮮内部で進む権力演出が新たな段階に入った可能性を示している。世襲体制の維持と安定を優先する北朝鮮にとって、後継問題は体制の根幹に関わる課題であり、その動向は今後も国際社会の注目を集め続けることになる。

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