◎文大統領は来月退任する。
北朝鮮の国営メディアは21日、金正恩 党総書記が韓国の文在寅大統領から直筆の手紙を受け取り、これまでの平和努力に感謝する手紙を返信したと報じた。
朝鮮中央通信は、「手紙のやり取りは彼らの深い信頼を示している」と伝えた。韓国政府も書簡のやり取りを認めているが、詳細は明らかにしていない。
文大統領は来月退任する。
朝鮮半島の緊張は先月行われた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を含む、北朝鮮の兵器実験の影響で高まり続けている。
キムはICBMと核開発を推進することで米国に圧力をかけ、厳しい経済制裁を解除させたいと考えている。
韓国政府によると、北は2018年に部分的に解体したとされる核実験場のトンネルを再建しているとみられ、地下核実験を再開する可能性を示唆している。
文大統領は2018年に3回キムと会談し、米朝首脳会談の開催に向けた協議も主導した。
しかし、キムは2019年の米朝首脳会談でトランプ前大統領に核施設の解体と引き換えに制裁を緩和するという要求を拒否されたことで交渉を放棄し、韓国との外交も崩壊した。
それ以来、キムは米国の圧力に対抗するために核抑止力を強化すると誓い、経済制裁やコロナの感染拡大に伴う貿易の縮小などによって国民が飢えているにもかかわらず、兵器開発を加速させた。
朝鮮中央通信によると、文大統領は書簡の中で2018年の会談後に出された南北平和のための共同宣言に基づき、朝鮮半島統一のための努力を引き続き支援すると表明した。
また朝鮮中央通信は、「文大統領が希望を持ってたゆまぬ努力を続ければ、南北関係は韓国国民が期待するように改善、発展するだろう」と報じた。
しかし、次期大統領の尹淑烈(ユン・ソクヨル)氏は北により強硬な姿勢を取ると予想されている。
尹氏は大統領選期間中やその後の会見で、「米国との同盟関係を強化し、北の核の脅威に対抗するために本格的な軍事演習を再開する」と約束している。
韓国の専門家によると、キムは米バイデン政権がロシア・ウクライナ戦争と中国問題に注視している隙をつき、今後数週間から数ヶ月のうちに兵器実験をエスカレートさせる可能性が高いという。
米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表は今週、韓国の高官と会談した。ソン・キム氏は会談後の記者会見で、「北の不安定化に対抗するために、強力な対応が必要であるという点で一致した」と明らかにした。
文大統領は北に融和的な政策を取ってきたが、今年の兵器実験強行には強く反発し、ICBMの発射実験に踏み切ったキムを厳しく非難した。
また韓国政府は、北が2008年まで一緒に運営した韓国政府所有のゴルフリゾートを解体し始めたことも非難している。キムは2019年、金剛山(クムガンサン)に建設された水上ホテルとして知られるヘグムガンホテルやゴルフコースを「みすぼらしい」と呼び、破壊するよう命じていた。
韓国政府によると、解体作業はコロナウイルスの影響で遅れたものの、今月初め頃から始まったという。