◎金正恩 党総書記は今年4月、北朝鮮が脅威に直面した場合、先制核攻撃も辞さないと述べ、核兵器は戦争抑止に限定しないと警告していた。
北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記は27日、米韓との軍事衝突の可能性について言及し、核兵器を使用する準備はできていると警告した。
朝鮮中央通信社(KCNA)によると、キムは朝鮮戦争停戦69周年を記念する式典で核兵器の使用も辞さないと米韓を威嚇したという。
韓国の専門家はこの発言について、「金正恩はコロナウイルスの感染拡大がもたらした経済的苦境から国民の目をそらし、結束を高めようとしている」と指摘した。
KCNAによると、キムは退役軍人を前に演説し、「わが国の軍隊はいかなる危機にも対応できるよう完全に準備されており、核抑止力もその任務に従い、忠実に、正確に、迅速に絶対的な力を行使できる」と述べたという。
またキムは米国が北朝鮮を「悪魔化」していると非難し、「米韓合同軍事演習は北朝鮮の軍事活動を脅威と決めつける米国の二重基準と暴力団的な側面を示している」と主張した。
キムは韓国の尹錫烈(Yoon Suk-yeol)大統領を「戦争マニア」と呼び、過去の韓国指導者よりもさらに攻撃的で、「韓国はギャングスターに率いられている」と述べた。
ユン氏は5月の就任以来、米国との軍事関係を強化し、北朝鮮の核の脅威を抑え込むために先制攻撃も辞さない姿勢を示している。
キムは「彼らが最も恐れる絶対的な兵器を保有するわが国に対して軍事行動を示唆することはとんでもない間違いであり、自殺行為である」と警告した。「そのような危険な試みは、わが国の強大な力で直ちに罰せられ、韓国政権とその軍隊は全滅するだろう...」
核開発を推し進めるキムは隣国の韓国や日本を威嚇し続けている。韓国の専門家によると、この威嚇行為は譲歩を引き出し、同時に国の結束を高める効果を期待できるという。
キムは今年4月、北朝鮮が脅威に直面した場合、先制核攻撃も辞さないと述べ、核兵器は戦争抑止に限定しないと警告していた。
キムは米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)と、韓国・日本向けの短距離ミサイル発射実験を何度も行っている。
韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」は専門家の話を引用し、「キムはコロナの感染拡大による国境封鎖、米国主導の制裁、自らの不始末によって自国経済が大打撃を受けているため、国民の支持拡大を求めている」と報じた。
北朝鮮は5月にコロナ患者を初めて確認したと認めたが、それ以降は「謎の熱病」が蔓延していると繰り返し報道し、政府はそれをコントロールできているとした。
デイリーNKはキムの核使用発言について、「敵国の脅威が迫っていると誇張することで、国民の目を経済問題からそらさせようとしている」と説明した。
キムは米韓の交渉再開要請を拒否し、「交渉のテーブルにつきたいのであれば、まずは米国が制裁を解除し、米韓の敵対的な政策を改める必要がある」と主張している。
韓国合同参謀本部は先週、今夏に予定している米国との合同軍事演習について、2018年以来となる実地訓練も行うと発表した。
米韓はこの数年、コロナの拡大防止と北朝鮮に核開発を放棄させることを目指し、定期演習の一部を中止または縮小していた。