◎米国は今週、核の傘を含む戦力で韓国を防衛する拡大抑止を盛り込んだワシントン宣言を発表した。
北朝鮮の国営メディアは29日、金正恩(Kim Jong Un)党総書記の妹である金与正(Kim Yo-jong)の談話を発表し、米韓首脳が今週発表した「ワシントン宣言」を危険な企てと非難した。
朝鮮中央通信社(KCNA)によると、キムの妹は談話の中で、「米韓合意はより深刻な危機につながる」と警告。北の平和と安寧を脅かす勢力を核兵器で破壊すると示唆した。
また妹は北の核抑止力を「さらに完璧なものにするべきだ」と主張した。
米国は今週、核の傘を含む戦力で韓国を防衛する拡大抑止を盛り込んだワシントン宣言を発表した。
これにより、米国は北の核の脅威に対抗するため、核武装した潜水艦を韓国に配備することなどで合意した。
韓国はその見返りとして、核兵器を開発・製造しないことに同意した。
キムの妹はこの合意について、「敵が核戦争に固執し、朝鮮半島周辺に核兵器を配備すればするほど、我々の自衛権の行使はそれに比例して強くなる」と指摘した。
そして、「この動きは世界の平和と安全を脅かすことになる」と述べ、必要の場合は躊躇することなく核兵器を使用するというキムの方針を確認した。
バイデン(Joe Biden)大統領はこの合意を歓迎し、「これは北の攻撃を抑止する我々の協力関係を強化する」と述べた。
尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領は、「この合意は米国は核兵器を使用してでも攻撃を抑止し、同盟国を保護するという前例のないコミットメントを示したものだ」と語った。
中国外交部は合意を批判し、「意図的に緊張をあおり、対立を誘発するだけだ」と警告した。
韓国の政治家たちは長い間、北の核使用に対応する計画を策定するよう米国に求めてきた。
米日韓は北の核の脅威に対処する取り組みを進めている。日韓の首脳は先月会談したばかりだが、アフリカ歴訪中の日本の岸田(Fumio Kishida)首相は来月上旬にソウルを訪問し、ユン氏と会談する予定だ。
米国は韓国を防衛する米韓相互防衛条約について、「必要と判断した場合は核兵器の使用も辞さない」と公言してきたが、韓国市民はその約束を疑い、自国で核兵器を開発するよう求める声が出始めている。