◎予算額や計画の詳細は明らかにされていない。
2月8日、北朝鮮の国営メディアによると、金正恩 党総書記はより高度なコロナウイルス対策を実行するために、2022年のパンデミック対策費を3分の1増やす計画を承認したという。
2022年の予算案は、7日と8日に開催された朝鮮労働党委員会で可決された。北朝鮮は先月、約2年間維持した国境閉鎖の一部を解除し、中国との鉄道貨物輸送を暫定的に再開したと伝えられている。
金正恩は昨年末の会議で国のコロナ対策を見直すと示唆し、科学に基づく高度なウイルス対策の重要性を強調していた。
朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党はコロナ対策予算を昨年から33.3%増やす計画を全会一致で可決したという。予算額や計画の詳細は明らかにされていない。
国の経済政策を主導する金 徳訓(キム ドクフン)首相はコロナ対策を国の最優先事項と説明したうえで、「対策は科学的根拠に基づき、国と市民の安全を保証したうえで行われる」と強調した。
朝鮮中央通信によると、金正恩は委員会に姿を現さなかったという。また、米国や韓国に対するコメントもなかった。
金正恩は最近の演説で核開発を強化すると誓い、ミサイルの発射試験を繰り返している。朝鮮中央通信によると、政府は昨年、総支出の15.9%を核開発に投資し、2022年も同規模の予算を割り当てる予定だという。
韓国の世宗研究所のアナリストであるチョン・ソンチャン氏は8日、「朝鮮中央通信が報じた北朝鮮の予算案はコロナ対策だけでなく、主要な同盟国であり生命線でもある中国との貿易やその他の交流を徐々に拡大すると明確に示唆している」と指摘した。
またソンチャン氏は、「北朝鮮は国全体を封鎖するのではなく、特定の地域を封鎖してコロナを抑え込む中国共産党の戦略を採用する可能性がある」と述べた。
北朝鮮はゼロコロナを維持していると主張しているが、西側諸国はこの主張を疑問視している。2年間にわたる厳しい国境閉鎖、中国との貿易停止、気候変動、米国の厳しい経済制裁は北朝鮮の経済を痛めつけ、一部地域では餓死者も報告されている。
北朝鮮は中国との鉄道輸送を一部再開することで中国との連帯を国際社会に示し、米国に揺さぶりをかけた。一部の専門家は、先月のミサイル発射試験は2018年に停止を表明した大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核兵器の開発を再開・加速させる意思表明と指摘している。