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北朝鮮、戦没者遺族向けの住宅地区を開設=国営メディア

北は2024年にロシアと結んだ防衛協定に基づき、約1万4000人の兵士をロシアに派遣したとされ、韓国やウクライナ、西側の複数の情報筋は、そのうち6000人以上が戦死したと推定している。
2025年4月5日に北朝鮮メディアが公開した写真、金正恩 党総書記(KCNA/ロイター通信)

北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記が戦死した軍人の遺族向けに建設された平壌の新しい住宅地区の完成式典を主宰した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が15日に伝えた。

この地区は海外での軍事作戦中に命を落とした兵士の家族のために整備されたもので、キムは式典で「戦死者の精神と犠牲を象徴する」と述べ、遺族が誇りを持って幸福に暮らせるようにとの意義を強調した。

KCNAによると、キムは「一日でも早く完成させるべく努力した」として、この住宅地区が遺族に「わずかな慰め」を提供することを望むとの考えを示した。平壌市内に整備されたこの地区は戦死者の配偶者や子どもたちが暮らす住宅および関連施設で構成されるとみられる。

北は2024年にロシアと結んだ防衛協定に基づき、約1万4000人の兵士をロシアに派遣したとされ、韓国やウクライナ、西側の複数の情報筋は、そのうち6000人以上が戦死したと推定している。このため北では戦死者をたたえる行事や記念施設の建立が相次ぎ、今回の住宅地区完成もその一環と受け止められている。

北は近年、戦死者や軍事活動を国威発揚や政権の正当化に利用しており、遺族支援を強調することで国内の結束を図っているとの分析もある。戦死を公に認めると同時に、英雄として称える動きは、軍事的貢献や忠誠心を重視する体制の特徴を反映している。

今回の住宅地区開所は、平壌で2月下旬に予定される第9回朝鮮労働党大会を控えた重要な政治的イベントとの位置付けもある。党大会は政策方針や指導部の方針を示す重要な場で、キムは遺族支援や軍事活動の成果を強調し、自身の指導力を内外にアピールしているとみられる。

北ではこうした住宅建設が平壌中心に進む一方で、地方の生活条件や経済状況には依然として格差があるとの指摘が国際社会から出ている。また、軍事支出や国際的な孤立が続く中で、国民の生活改善策としての住宅整備がどの程度恩恵をもたらすかについては評価が分かれている。

キムは今回の式典で、戦死した兵士の家族に対する国家的な配慮と称賛を示し、党大会に向けた支持固めと統一感の醸成を図る狙いを見せた。KCNAはこの住宅地区の完成を大々的に報じ、遺族の生活向上に寄与する成果として国内外へ発信する見通しである。

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