北朝鮮・金正恩が娘とホテル視察、経済発展を称賛=国営メディア
キム親子は中国国境に近い北東部の三池淵(サムジヨン)観光地区で12月20日と21日に5軒のホテルの開業式典に出席し、豪華な内装や各種施設を視察した。
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北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記が観光開発の象徴と位置づけられる複数のホテルの開業式典に娘のジュエ氏を伴って出席し、経済発展を強調した。国営メディアが22日に報じた。
それによると、キム親子は中国国境に近い北東部の三池淵(サムジヨン)観光地区で12月20日と21日に5軒のホテルの開業式典に出席し、豪華な内装や各種施設を視察した。ジュエの姿も広く報じられ、今後の政権継承をめぐる観測を呼んでいる。
国営朝鮮中央通信(KCNA)が公開した写真には、親子がホテルのロビーや客室、レジャースペースなどを歩き回る様子が写っている。キムはこれらのホテルが「人民の地位向上と国家の発展可能性を証明する明らかな証拠である」と述べ、観光インフラ整備が国家発展の一環であるとの認識を示したという。
今回の式典は北朝鮮が2026年初頭に予定している朝鮮労働党大会を控える中、経済政策の成果を内外にアピールする狙いがあるとみられている。党大会では新たな5カ年計画が発表される見込みで、国内各地での開発プロジェクトが盛んに進められている。キムはこの数週間で複数の工場や施設の開業式典に出席しており、経済活性化を強調する姿勢を鮮明にしている。
ジュエは公的な場への登場がたびたび報じられているが、今回のホテル視察は経済関連施設への同行という点で注目を集めている。分析筋は彼女が将来の指導者候補として育成されている可能性を指摘している。北朝鮮ではこれまで指導者の子女が公式の場に登場する機会は限られてきたが、ジュエは幾度も父親と共に姿を見せており、存在感を増しているとの見方がある。
三池淵観光地区は白頭山周辺の自然環境を生かした開発が進められている地域で、リゾートや宿泊施設の整備を通じて国内観光の振興と外貨獲得を目指す意図があるとされる。
北朝鮮は長年続く経済制裁や資源不足の中で観光業の振興に力を入れており、特に中国やロシアからの観光客誘致を重要視しているとの分析もある。
一方で、外部の専門家は北朝鮮経済が依然として大きな制約下にあり、インフラ整備や観光開発だけでは持続的な経済成長を実現するには不十分との見方を示している。制裁の影響や市場経済の制限といった構造的な課題が残る中で、観光振興策の効果は限定的になる可能性があるという指摘もある。
総じて、今回のホテル開業式典は北朝鮮が「進歩」を演出する政治的な意図を強く含んだ出来事であるとの評価が出ている。
今回の視察はキム体制が経済面での成果を示そうとする努力の一環、党大会に向けた国内外へのメッセージと受け止められている。
