◎国営メディアは5日の放送の中で、「今週初めに北東部地域でまとまった雨が降り、1,170戸の家屋が破壊または浸水し、少なくとも5,000人が避難を余儀なくされた」と報じた。
2021年8月/北朝鮮の国営放送局が報じた咸鏡南道の様子(KCTV/AP通信)

北朝鮮の国営メディアによると、金正恩 党総書記は大雨による浸水被害に見舞われた北東部地域を支援するために、軍に出動を命じたという。

国営メディアは5日の放送の中で、「今週初めに北東部地域でまとまった雨が降り、1,170戸の家屋が破壊または浸水し、少なくとも5,000人が避難を余儀なくされた」と報じた。

放送によると、北東部の咸鏡南道(ハムギョン・ナムド)の市街地は冠水し、数百ヘクタールの農地が影響を受け、多くの橋が流されたという。一部地域の民家は屋根まで浸水したと伝えられている。

朝鮮中央通信(KCNA)は8日、「朝鮮労働党の中央軍事委員会は5日に被災地の救援と復旧に向けた取り組みを協議した」と報じた。

金正恩は会議には出席しなかったが、党当局を通じて「軍は被災地に必要な物資を届けること」と関係者に伝えた。

KCNAは死傷者の有無には言及しなかったが、北東部の沿岸地域では今後数日雨が続くと予想されており、被災地の状況は悪化する可能性があると報じた。

北朝鮮の経済はコロナウイルスの感染拡大を抑える厳格なロックダウンとアメリカ主導の厳しい制裁の影響で傾いており、一部の専門家は食糧不足が深刻な飢餓を引き起こす可能性もあると警告している。

北朝鮮に大雨をもたらす台風やまとまった雨雲は貧弱な排水設備を圧倒することが多々あり、大雨が降るたびに水害を引き起こし、農業やその他の部門に深刻な被害をもたらしてきた。

韓国を含む北朝鮮の監視グループは食糧危機の発生に懸念を表明しているが、1990年代の大飢饉のような事態に発展する可能性は少なく、その兆候も見られないと述べている。

1994年から1998年頃に発生した大飢饉の正確な死者数は明らかにされていないが、餓死または栄養不足に関連する病で200万~350万人が死亡したと推定されている。

金正恩は6月、コロナウイルス、アメリカ主導の制裁、昨年の台風災害により、自国の食糧事情は「史上最悪の危機」に直面していると公の場で認めた。

2019年5月21日/北朝鮮、首都平壌、金正恩 党総書記(Getty Images/AFP通信)
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