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ニュージーランド政府、「移民規制」強化法案を閣議決定


難民制度についても見直しが検討されている。
ニュージーランド、首都ウェリントンの議会議事堂(AP通信)

ニュージーランド政府は18日、犯罪対策を念頭に「移民規制」を強化する法案を閣議決定した。深刻な犯罪や移民搾取、不正な難民申請への対応を強化する狙いで、近年の治安や制度運用への懸念を反映した措置と位置付けられている。

スタンフォード(Erica Stanford)移民相は記者団に対し、「この法案により、当局に均衡の取れた権限を与え、移民に関連するリスクをより効果的に管理できるようにする」と説明した。制度の公平性と機能性を維持しつつ、不正行為や重大犯罪への対応を強化することが目的である。

法案の柱の一つは重大犯罪を犯した永住者に対する国外退去の適用期間の延長である。これまでは入国後10年以内に犯罪を犯した場合に限り退去対象となっていたが、これを20年に拡大する。さらに、移民労働者の搾取に対する最高刑も従来の禁固7年から10年へ引き上げられる見通しである。

加えて、ビザ(査証)申請などの過程で虚偽や誤解を招く情報を提供した場合に対する当局の対応権限も拡大される。これにより、不正な手段で入国や滞在資格を得ようとする行為への抑止力を高める狙いがある。

難民制度についても見直しが検討されている。ラクソン(Christopher Luxon)首相は国内で重大犯罪を犯した事実を難民認定の判断材料に含める方針を示していた。実際に、難民申請者の中には殺人や放火、性犯罪、薬物犯罪などの重大な罪で有罪となった例が確認されており、制度の信頼性維持が課題となっている。

さらに、正当な理由なく生体認証手続きに応じない申請者や、注目を集めることで申請を有利に進めようとする「不誠実な申請」への対処も強化される見通しである。こうした対応は制度の悪用を防ぐことを目的としている。

同法案は議会で3回の審議を経る必要があるが、与党が過半数を握っているため、成立する可能性が高いとみられている。政府は犯罪を犯した外国人の送還や制度の厳格化を通じて、国民の安全と移民制度への信頼を確保したい考えである。

今回の動きは世界的に移民政策を引き締める傾向とも軌を一にする。各国政府は犯罪対策や社会的負担への懸念を背景に、移民管理の強化を進め、ニュージーランドもその流れの中にある。

一方で、難民保護とのバランスをどう取るかが引き続き課題となる。厳格化が進む中で、真に保護が必要な人々への支援を損なわない制度設計が求められている。政府の新方針は治安維持を重視する姿勢を鮮明にしたが、その影響は移民政策全体に及ぶ可能性があり、今後の運用と社会的議論に注目が集まっている。

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