ニュージーランドは先日の総選挙と合わせて実施された国民投票のひとつ、「安楽死の合法化」について、賛成票が過半数を大きく上回っていると発表した。
開票の結果、65.2%が安楽死の合法化に賛成した。
なお、30日に発表された開票結果には、海外投票を含む推定48万の特別投票が含まれておらず、最終投票数は11月6日に判明する予定。ただし、結果が覆る可能性は極めて低いと考えられている。
一方、反対者たちは合法化について、「適切なセーフガードを欠いている」と主張している。
国民投票には拘束力があり、法律は2021年11月に発効する予定。ニュージーランドは安楽死を認めるオランダやカナダなどの国々に加わる。
「大麻の合法化」については、賛成46.1%、反対53.1%だった。これは特別投票の結果で覆る可能性がある。
10月17日に再選を決めたジャシンダ・アーダーン首相は安楽死への支持を表明したが、レクリエーション大麻についてはコメントしていない。
ニュージーランドの終末期選択法は何年にもわたる議会での激しい議論の末、2019年に可決された。
ただし、「国民投票を行い、有権者の50%以上が賛成にチェックをいれた場合にのみ発効する」という条件が設けられていた。
安楽死を求める人が「満たさなければならない基準」はたくさんある。以下はその抜粋。
・6カ月以内に死に至る可能性の高い末期の病気に苦しんでいる。
・身体能力の大幅な低下を示す。
・情報に基づき、本人の意思で決定を下すことができる。
この法律は「全ての条件を満たした場合」に、医師または看護師の監督下で致死量の薬を投与または処方することが許可される。
また法律には、高齢者、精神疾患、障害のみの場合、安楽死を受ける資格はないと述べている。
反対者は?
安楽死改革は幅広い支持を受けたが、反対意見も少なくなかった。
昨年、議会で法案を決める投票が行われた際、抗議者たちは「私たちが死なないように生きることを助けてほしい」「安楽死は解決策ではない」とプロカードを掲げ、抗議した。
合法化反対をキャンぺーンしたグループ、安楽死フリーNZは開票結果について次のように述べた。
安楽死フリーNZの声明:
「安楽死は社会の幸福に脅威を与える」
「合法化は自殺防止の取り組みと矛盾する。自殺防止の取り組みや呼びかけを損なうことになるだろう」
「欠陥だらけの安楽死法が可決されたことに失望している。議会はさらなる修正案を提出し、この法律をより安全にすべきだ」
他の人々は、「家族への負担を減らすために安楽死を選択する重病患者が増える可能性」を指摘している。
安楽死を許可する国
ベルギー、カナダ、コロンビア、ルクセンブルグ、オランダでは合法。スイスでは厳しい条件を満たしたうえで自殺幇助が許可されている。
アメリカとオーストラリアの多くの州でも、安楽死が合法化されている。
安楽死は苦しみを和らげるために故意に人生を終わらせる行為。一方、自殺幇助は、他の人が自殺するのを故意に支援する行為である。