◎マオリ党のラウィリ・ワイティティ議員は、医療制度の抜本的な見直しの一環として検討されているマオリ保健局の設立に激しく反発した。
5月12日、ニュージーランドのラウィリ・ワイティティ議員は、人種差別的な議論を行った議会に抗議してマオリ族の民族舞踊ハカを舞い、議事堂から放り出された。
ワイティティ議員は、医療制度の抜本的な見直しの一環として検討されているマオリ保健局の設立に激しく反発した。
マオリ党の共同リーダーを務めるワイティティ議員はマオリ族を特別扱いする計画を人種差別的と非難した。一部の議員も、マオリ保健局の設立は国の分断を煽る分離主義者の考えと非難している。
ワイティティ議員は議長に、「先住民族に向けられた絶え間ない侮辱の弾幕に耳を傾けざるを得なかった」と語った。
NZ労働党のトレボー・マラード議長はワイティティ議員に座るよう促したが、同氏は要求を拒否したうえで、マオリ族の民族舞踊ハカと聖歌を披露した。
現地メディアによると、マオリ党の共同リーダー、デビー・ンガレワ・パッカー議員も一緒にハカを舞い、議事堂は不穏な空気に包まれたという。
ハカを見せつけられたマラード議長はワイティティ議員とパッカー議員に、「議会から立ち去りなさい」と命じ、二人は議事堂を後にした。
ワイティティ議員が議会と衝突したのはこれが初めてではない。今年2月、同氏は「ニュージーランドの男性議員は議事堂内でネクタイを着用しなければ議長に質問できない」というルールを却下し、マラード議長と激しく対立した。
ワイティティ議員はネクタイを「植民地時代の縄」と呼び、代わりに石のペンダントを身に着けている。マラード議長はネクタイルールに従わなかったワイティティ議員を議事堂から放り出した。しかし、ジャシンダ・アーダーン首相や他の議員からネクタイにこだわる必要はないと促され、ルールの見直しに同意した。
NZ労働党の副党首、ケルビン・デイビス議員は、マオリ党の支持基盤は小さいと指摘した。「昨年の議会選挙で投票の1.2%を獲得した党が国内の全マオリ族の意見を主張しているとは思えません。マオリ保健局の設立は医療制度の見直しに欠かせない改革のひとつです」