◎ジャシンダ・アーダーン首相はコロナウイルスを国内から完全に取り除くことはできないと認め、封鎖制限の緩和に向けた新しい計画を発表した。
2021年10月4日/ニュージーランド、首都ウェリントンの議会議事堂、ジャシンダ・アーダーン首相(マーク・ミッチェル/Pool/AFP通信)

10月4日、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相はコロナウイルスを国内から完全に取り除くことはできないと認め、封鎖制限の緩和に向けた新しい計画を発表した。

アーダーン政権の厳格なロックダウンと大規模検査による濃厚接触者の追跡は極めて効果的に機能し、世界の医療当局者と国際機関はニュージーランドの取り組みをモデルケースと呼び称賛した。

ゼロコロナを目指す政策は数カ月前までうまく機能し、ニュージーランドの新規陽性者は空港以外では確認されていなかった。しかし、感染力の強いデルタ株は空港の検疫を突破し、最大都市オークランドや首都ウェリントンなどに拡大した。

アーダーン首相はデルタ株が確認された地域をロックダウンしたが、従来種より感染力の強い変異種を完全に抑え込むことはできなかった。

地元メディアによると、デルタ株は地元のギャングやホームレスの間で急速に広がり、そこから地域の住民に伝搬した可能性が高いという。

アーダーン首相は4日の記者会見で、7週目を迎えたオークランドのロックダウンはデルタ株の抑制に貢献したと述べた。しかし、長期のロックダウンでもデルタ株を完全に抑え込むことは難しく、政府はコロナ対策の見直しを慎重に検討していると明らかにした。

アーダーン首相は記者団に、「数カ月前のワクチン接種率を考えると、ロックダウンは最良の対策だった」と強調した。

ニュージランドのワクチン展開速度は他の主要先進国に比べると遅かったが、8月のデルタ株拡大以降接種者が急増し、接種率を押し上げた。保健当局のまとめによると、少なくとも1回接種した人は10月3日時点で人口の約68%、接種を終えた人は約42%、12歳以上で少なくとも1回接種した人はまもなく80%に到達するという。

政府の新しい計画は10月5日に施行される予定。オークランドの住民は他の1世帯と屋外で会うことを許可され、託児所の運用が再開される。地元メディアによると、レストラン、バー、小売店などの営業再開日は決まっていないという。

ニュージーランド国民の大多数はロックダウンを支持していたが、封鎖期間が1カ月を超えた頃から批判的な意見が寄せられるようになり、週末になると各地で抗議デモが開催されるようになった。

野党のクリス・ビショップ議員はソーシャルメディアに、「政府は新たな戦略を速やかに立案し、市民の生活に深刻な影響を与えるロックダウンを一刻も早く終了しければならない」と投稿していた。

しかし、アーダーン首相は新たな計画を支持する一方、「ロックダウンと濃厚接触者の追跡はデルタ株を確実に抑制する」と強調し、厳しい制限は今後も維持されると述べた。

ニュージーランドの累計感染者数は他の先進国に比べると圧倒的に少なく、10月3日時点で約4,400人、累計死亡者は27人。

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