韓国で高級料理ブーム、Netflix「白と黒のスプーン 〜料理階級戦争〜」
この変化の背景にあるのがNetflixの「白と黒のスプーン 〜料理階級戦争〜」だ。
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米国の動画配信大手Netflixの人気料理対決番組「Culinary Class Wars(白と黒のスプーン 〜料理階級戦争〜)」が韓国の高級料理シーンに大きな変化をもたらしている。番組に出演したシェフたちの予約数は放送後に数倍に跳ね上がり、料理業界全体にも影響を及ぼしている。
韓国・ソウルのレストランSOIGNÉ(ソワニエ)を主宰するジュン・リー(June Lee)シェフは13年前に店を開いた当初は高級料理の概念を説明するのが仕事の一部だったと語る。提供するのはテイスティングメニューのみであるにもかかわらず、顧客からは単品料理を求められたり、料理が出てくる時間を疑問視されたりすることが多かったという。しかし今では、訪れる客から風味の組み合わせや調理哲学について深い質問を受けるようになったと述べている。
この変化の背景にあるのがNetflixの「白と黒のスプーン 〜料理階級戦争〜」だ。同番組は著名なシェフと、下積みシェフを対決させる構成で、さまざまな料理技術や創造性を競わせる。第2シーズンは25年12月の配信開始時にNetflixのグローバルトップ10(非英語番組部門)で1位を獲得し、5週連続でランク入りした。Netflixは3シーズンの制作も正式に発表している。
結果として、韓国の高級レストランに対する関心が急騰した。韓国最大のレストラン予約プラットフォーム「CATCHTABLE(キャッチテーブル)」によると、第2シーズン放映後の5週間で番組に出演した多くの店舗で予約件数やウェイトリストへの登録が303%増加したという。昨年のポップアップイベントでは150席の予約に対して約45万件の申込みがあり、1席に約3000人が競合する事態になったほどだ。
人気の高まりは出演シェフ個人にも及ぶ。ソウルの人気店「Table for Four」のオーナーシェフ、キム・ソンウン(Kim Sung-eun)氏は予約が3倍になり、スタッフ宛に毎日100件ほどの電話がかかってくるという。客から写真撮影を求められることも増え、子どもから手紙を受け取ることもあると話す。「まるで有名人のようだ」と述べ、予想以上の反響に驚きを隠さない。
一方で、こうした人気の急上昇は単なる流行にとどまらず、韓国の食文化に対する意識そのものを変えつつある。伝統的な韓国料理として世界的に知られる焼肉やビビンバのほかに、「モダン・コリアン」と呼ばれる新しい高級料理への関心が高まっている。リーシェフは「キムチを単に料理に加えただけで韓国料理と呼べるか」という問いを投げかけ、真に韓国的な料理とは生活文化の積み重ねによって育まれたものであると強調する。
また、こうした動きは政府が長年進めてきた韓国料理の国際的な普及戦略とも呼応しているとの指摘もある。料理評論家や業界関係者は、Netflixの番組を通じて若い世代が料理文化に親しむ機会が増えたことが、今後の韓国料理の進化に寄与すると評価している。
ただし業界には課題も残る。多くの店舗が急増する予約に対応する人材不足や、コロナ後のサービス人員の確保が難しい状況にある。キム氏は「ファイ高級料理が真に発展するには、シェフと同様にサービスチームの成長も不可欠だ」と述べる。リーシェフも、競争が激化する市場で生き残るための努力が続くと語っている。
