◎スーチー氏の弁護団は、健康上の理由で出廷できなかった証人のザウ・ミン・マウン氏に新たな証言の場を設けるよう裁判所に求めていた。
11月30日、ミャンマーの現地メディアによると、首都ネピドーの裁判所はアウンサンスーチー氏への判決言い渡しを延期したという。
スーチー氏の弁護団は、健康上の理由で出廷できなかった証人のザウ・ミン・マウン氏に新たな証言の場を設けるよう裁判所に求めていた。マウン氏は第二の都市マンダレーの州知事を務めていたが、2月1日に拘束された。
国家顧問のスーチー氏は軍事クーデター以来公の場に姿を見せておらず、複数の容疑で起訴されている。軍事政権の支配下に置かれている裁判所は30日に扇動罪とコロナウイルス制限に違反した自然災害法違反の判決を言い渡す予定だった。
<アウンサンスーチー氏の主な裁判>
・汚職罪:15年以下の懲役
・公務秘密法違反:14年以下の懲役
・輸入法違反(トランシーバーの輸入):3年以下の懲役
・電気通信法違反(トランシーバーの輸入):1年以下の懲役
・自然災害法違反(2件):それぞれ3年以下の懲役
・扇動罪:3年以下の懲役
・選挙法違反:?
AP通信によると、司法当局は次回の秘密裁判を12月6日に延期したという。判決日は明らかにされていない。
軍事政権はスーチー氏を汚職や選挙法違反の罪などで告発したが、国民民主連盟(NLD)、スーチー氏の弁護団、そして軍事政権に反対する民間人とレジスタンスはこの主張を却下し、抵抗し続けると誓った。
一方、国営放送は30日の放送で元政府高官に対する6回目の汚職罪審理を行うと発表した。なお、5回目の審理は保留されており、実施時期は明らかにされていない。
国営放送によると、スーチー氏とウィンミン大統領はヘリコプターのレンタルと購入で関係者に便宜を図ったという。
一連の裁判は民主的な選挙で選出されたNLDの信用を失墜させ、次回の選挙に立候補できなくするためのものと見なされている。ミャンマーの憲法は実刑判決を受けた個人の立候補を禁じている。
NLDは昨年の総選挙で地滑り的勝利を収めたが、軍のミン・アウン・フライン司令官は大規模な不正があったと主張した。選挙管理委員会と監視機関は軍の主張を否定している。
抗議デモの犠牲者と逮捕者を追跡している政治犯支援協会(AAPP)によると、軍は2月1日以来、デモに参加した民間人1,300人以上を殺害し、数千人を拘束したという。
抗議デモの参加者は非武装を呼びかけていたが、主に少数民族で構成される地方都市のレジスタンスは武器を取った。国連の専門家は軍を非難し、ミャンマーは内戦状態に陥っていると警告した。