◎軍政がこのような提案をしたのは21年2月のクーデターで権力を掌握して以来初めて。
ミャンマー、西部ラカイン州に拠点を置くアラカン軍の兵士(ロイター通信)

ミャンマーの反体制派を率いる民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」が軍事政権の和平提案を拒絶し、武器を置いて投降するよう促した。

軍政の評議会は26日、NUGや人民防衛軍(PDF)を含む反体制派やゲリラに対し、武器を置き、対話に応じるよう求めていた。

軍政がこのような提案をしたのは21年2月のクーデターで権力を掌握して以来初めて。中国が仲介した北東部シャン州の停戦協議もすでに決裂している。

北東部シャン州の大部分を支配した「MNDAA(ミャンマー民族民主同盟軍)」、西部ラカイン州の「アラカン軍」、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した

これらの反体制派はNUGおよびPDFと連携し、国土の半分以上を掌握。軍政に圧力をかけている。

ミャンマー国営放送(MRTV)は26日、軍政評議会の声明を引用し、「国家と戦っている民兵組織とテロリストは政党政治または選挙プロセスを通じて政治問題を解決するために国家と連絡を取り、テロリストのやり方を捨てることによって平和と発展を得ることができる」と報じた。

また評議会は反体制派に対し、来年予定している国政選挙に参加するよう促した。

NUGはこの申し出を一蹴。軍政に武器を置き投降するよう求めた。

またNUGは「市民を虐殺した軍政に選挙を実施する権限はない」と断じた。

3つの部族からなる連合軍は今年6月、国軍に対する攻撃を再開し、中国と国境を接する複数の幹線道路や検問所を制圧。数千人の兵士が中国に逃れたり、投降した。

反体制派は投降した兵士に寝返るよう促し、その多くがゲリラ部隊に加わったと主張している。

シャン州の中国国境付近で続く戦闘は中国政府の大経済圏構想「一帯一路」にも影響を与えている。

中国の王毅(Wang Yi)外相は先月ミャンマーを訪問した際、フライン(Min Aung Hlaing)総司令官に警告を発したと伝えられている。

軍政は26日の声明で、「武装集団は永続的な平和と発展をもたらすために、政党政治と選挙の道を歩むべきだ」と主張した。

また軍政は「この紛争により、人的資源、インフラ、そして多くの命が失われ、国の安定と発展を妨げている」と述べた。

AFP通信はカレン民族同盟(KNU)幹部の話しとして、「軍政が3つの項目を遵守すると制約した場合のみ、停戦に向けた協議に応じる用意がある」と伝えている。

第1に、軍は将来の選挙に参加しない。2つ目は憲法を完全に遵守すると誓う。そして、戦争犯罪や人道に対する罪など、軍がこれまでに犯してきた罪を全て認め、責任を負うこと。

KNU幹部はAFPに「この3つに応じなければ、我々は軍に圧力をかけ続ける」と述べた。

他のゲリラは地元の独立系メディアの取材に対し、「軍政の申し出に興味がない」と述べている。

ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、21年2月のクーデター以来、治安部隊は少なくとも5706人の市民を殺害し、2万1000人近くを拘束したという。

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