ミャンマー軍政が選挙法公布、年末の総選挙に先立ち、内戦続く中
軍政は多方面から攻撃を受け、追い詰められている。

ミャンマーの軍事政権が年末に行うとしている総選挙に向け、新たな選挙法を公布した。
この法律は30日に国営メディアが発表。選挙を妨害する過程で死者を出した者は死刑に処される可能性がある。
軍指導部は21年2月、前年の選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏やウィン・ミン(Win Myint)大統領らを拘束した。
軍は20年の選挙で大規模な不正が行われたと主張し、クーデターを正当化しようとしたが、選挙監視団は重大な不正は見つからなかったと非難している。
平和的な民主化デモが武力で鎮圧された後、軍政に反対する多くの市民が武器を手に取った。
軍は権力掌握後、選挙が主要な目標だと表明したが、その日程を繰り返し延期してきた。
軍政は25年12月に総選挙を行うと主張しているものの、国土の半分以上を反体制派に占領された状態で選挙を行えるかは不明である。
軍政のトップであるフライン(Min Aung Hlaing)総司令官が署名した新法は、選挙プロセスを妨害する目的で演説し、発言し、組織し、扇動し、抗議し、または文書を配布する者に3~10年の懲役刑および罰金を科すとしている。
また選挙管理委員会の職員、候補者、有権者を脅迫、妨害、虐待、またはひどく傷つけた者は3年から終身刑を宣告される可能性がある。
投票用紙や関連する建物や構造物など、選挙に使用される設備や資材を破壊または損壊した者は5年から終身刑に処される可能性があるとしている。
そして、「その行為で死者が出た場合、関与した者に死刑を宣告する」としている。
軍政は多方面から攻撃を受け、追い詰められている。
シャン州を支配する「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」とTNLA、「アラカン軍」、カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は23年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。
これらの反体制派は民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」や「人民防衛軍(PDF)」と連携し、国土の半分以上を掌握。軍政に圧力をかけている。