◎ミャンマーは数十年にわたり少数民族の独立闘争に関連した紛争に悩まされてきた。
ミャンマーの地元メディアは25日、北部カチン州に対する空軍の空爆の死者が80人に達したと報じた。
同州に拠点を置く少数民族武装勢力「カチン独立軍(KIA)」は24日、前日に開催した記念式典が空爆を受け、約50人が死亡、70人が負傷したと報告していた。
世界の人権団体が軍事政権を非難し、国際社会に同国への武器・航空燃料の販売禁止を要請した。
AP通信はKIAに近い情報筋の話を引用し、「空爆の死者は80人に達し、約100人が負傷した」と報じている。
APによると、空軍は23日夜、カチン州バカンで行われた式典会場に爆弾を少なくとも4発投下。この式典には音楽家など300人~500人が参加していたという。
KIAの兵士、ミュージシャン、この地域の事業関係者、その他多くの民間人が爆発に巻き込まれ死傷したとみられる。
APは情報筋の話を引用し、「カチン族の有名な歌手も死亡した」と報じているが、身元は明らかにされていない。
反政権派のメディアは空爆を受けたとみられる会場の様子をSNSなどに投稿している。
独立系ネットメディア「ミャンマー・ナウ」は、治安部隊が負傷者の搬送を妨害したと報じた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは24日、医療関係者や人道支援団体のこの地域への立ち入りを許可するよう軍事政権に求めた。
一方、軍事政権の報道官は24日遅くにKIAへの攻撃を認め、空爆を「カチン族のテロ行為に対応するための作戦」と説明した。
また軍は、「100人以上が死傷したという報道をデマと批判し、空軍は民間人がいる会場ではなくテロリストの拠点を正確に空爆した」と主張した。
国連のミャンマー事務所は24日、深刻な懸念を表明した。
米国を含む欧米の在ミャンマー大使館も共同声明を発表し、この攻撃で軍事政権が民間人の命を軽視していることが明らかになったと非難した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相は今週、ミャンマー全土で拡大している暴力事件を協議する会合を開く予定だ。
ミャンマーは数十年にわたり少数民族の独立闘争に関連した紛争に悩まされてきた。KIAを含む地方の反政権派は昨年2月の軍事クーデターによる民主政権の崩壊以来、各地で攻勢を強めている。
KIAは強力な反政権派のひとつで、一部の武器を自前で製造し、軍と戦っている。
23日の式典はカチン族の独立を求める機構の創設62年を記念して開催された。
Videos of aftermath of #Myanmar #military air strikes on #Hpakant #Kachin sent to me for use. Increasingly, Myanmar military has been/will be using air attacks to target #ethnic territories controlled by ethnic armed groups/civilian resistance forces #WhatsHappeningInMyanmar pic.twitter.com/TMhcWNVw1o
— May Wong (@MayWongCNA) October 24, 2022